横浜・馬車道の総合診療クリニック

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。次のような特徴があります。

 

  • 毎年冬季に流行
  • 数回感染と発病を繰り返す
  • 生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の小児が感染
  • その後も一生再感染を繰り返す
  • 年齢に関わらず生涯にわたり顕性感染を起こす

 

RSウイルスは、特に乳 幼児期において非常に重要かつ危険な病原体(ウイルス)です。母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、 生後数週から数カ月の期間にもっとも重症な症状を引き起こします。

 

RSウイルス感染症の特徴は、大人に感染しても軽い症状で済みますが、赤ちゃんに感染すると重症化してしまうことです。1歳未満の乳児の場合、インフルエンザよりも死亡数が多いというデータもあります。その症状がカゼ風邪と非常に類似しているので、乳児が大人から感染しないように、しっかりと病態の特徴を理解し細心の注意を払う必要があります。

 

重症化するリスクのある症例

  • 低出生体重児
  • 心肺系に基礎疾患
  • 免疫不全のある場合

RSウイルス感染症の原因

RSウイルス感染症はRSウイルス(Respiratory Syncytial virus)の感染で発症します。冬から春にかけて流行し、乳幼児気道感染症の重要なウイルスです。RSウイルスの感染力は非常に強く、2歳頃までにほぼ100%の子どもがかかります。一度かかっても免疫が十分にできないので何度もかかりますが、くり返し感染しながら徐々に免疫ができ、症状は軽くなります。

 

RSウイルスのRSとは?

RSウイルスのRSは、<Respiratory Syncytial(呼吸器の合胞体)>の略語です。ウイルスが呼吸器感染に際して、隣接する呼吸器の細胞の細胞膜を融合させます。これにより多核巨細胞様の構造物が形成されます。これを合胞体またはシンシチウム(syncytium, pl. syncytia)を形成します。これが名前の由来です。麻疹ウイルスなどと同じ種類でメタニューモウイルスに似ています。ノドや気管支などの呼吸器に感染します。

 

|RSウイルスの詳細

 

RSウイルスは次のような特徴を有しています。

 

  • パラミクソウイルス科ニューモウイルス属(Paramyxovirus科のPneumovirus属)
  • RNAウイルス
  • エンベロープあり
  • 直径80?350nmの球形、あるいはフィラメント状の形状
  • 遺伝子配列による分類  A型 ・ B型(ウイルス株間での差違は大きい)
  • ウイルス表面の糖タンパク(G蛋白)に差異
  • 一般にA型RSウイルス感染症の方が重症化
  • 環境中では比較的不安定かつ弱いウイルス
  • 凍結からの融解・55°C以上の加熱・界面活性剤、エーテル・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬などで速やかに不活化

 

RSV感染により症状を起こす自然宿主は、ヒト・チンパンジー・ウシであるが、無症状の山羊・羊からも分離されることがあります。

 

 

|RSウイルスの感染経路

 

RSウイルスの感染経路は、飛沫感染・接触感染 が主です。最初に鼻に感染することが多いです。RSウイルスが麻疹・水痘・結核のように空気感染するといった報告はありません。

 

飛沫感染

  • 感染した人の咳やくしゃみで飛散したウイルスを直接吸い込むことによって感染
  • 鼻や咽頭の粘膜でウイルス増殖

接触感染

  • 感染者との濃厚接触
  • 鼻汁や痰に含まれるRSウイルスが手指・皮膚・物に付着

       (衣服・玩具・ドアノブ・手すり・スイッチ・机・椅子・おもちゃ・コップ等)

  • 4〜7時間は感染力あり
  • ウイルスが眼瞼や鼻咽頭の粘膜と接触し感染

 

RSウイルスの家庭内感染・伝播
一般的に家族内にRSウイルスを持ち込むのは、軽症の上気道炎症状を持つ学童期の小児の患者様です。RSウイルスは環境中では比較的不安定ですが、特に家族内では効率よく感染・伝播します。
乳幼児と年長児のいる家族の場合には、流行期間中に家族の44%が 感染したとする報告もあります。

 

|RSウイルスの潜伏期間

 

RSウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2〜8日(一般的に4〜6日)です。症状が発現する前でも感染し、症状が消失してからも1〜3週間は感染力があると言われています。RSウイルスのウイルス排泄期間は7〜21日と長いため、感染が拡大しやすいです。

 

汚染されたカウンターでは6時間、手についたウイルスは約30分感染する力を持っているため、かなり感染力が強いウイルスと言えます。

RSウイルス感染症の症状

|RSウイルスの潜伏期間と感染期間

 

  • RSウイルスの潜伏期間  2〜8日(主に4〜6日)
  • RSウイルスの感染期間(ウイルス排泄期間)  7〜21日(感染拡大しやすい)

 

|RSウイルス感染症の経過

 

RSウイルス感染症は次のような段階を経て重症化して行きます。

 

(1)生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の小児子がRSウイルスに最低1度は感染
          (ほとんどは症状が出ない不顕性感染)

 

(2)RSウイルスの潜伏期間 2〜8日(主に4〜6日)

 

(3)全症例の70%は上気道症状 ・ 7日程度で軽快 

 

(4)全症例の約30%の症例は重症化 細気管支炎に移行

 

(5)全症例の1〜3%が重症化・呼吸困難に対し入院治療(酸素補給・気管拡張・点滴などで)

 

 

|RSウイルスの典型的な症状

 

症状としては、軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。潜伏期の後、発熱・鼻汁などの上気道炎症状が数日持続し、約70%の症例は数日〜1週間で軽快します。その後約30%の症例で炎症が下気道まで波及して、気管支炎やを発症し、咳の増強・呼気性の喘鳴・呼吸困難・多呼吸などが現れてきます。更に増悪した場合は、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。

 

上気道炎の症状

発熱は、乳児の場合は一般的には38℃台が多く見られます。39℃以上の高熱が持続することはあまりありません。生後2歳までにほとんどの乳幼児がRSウイルスに感染しますが、初感染の乳幼児の場合は鼻水から始まり、その後38〜39度の発熱と咳が続きます。

 

  • 発熱(38〜39度)
  • 水様性鼻汁
  • 鼻閉(鼻づまり)

 

気管支炎の症状

上気道炎の炎症が下気道まで波及すると、気管支炎となります。咳・喘鳴・呼吸困難などの呼吸器系の症状が強く現れます。その後数時間で突然重症化し、細気管支炎になることもあります。

 

  • 乾性咳嗽
  • 喘鳴(ゼーゼーのどが鳴る音)
  • 呼吸困難(肋骨の下がへこむ陥没呼吸など)
  • 多呼吸(呼吸数が多くなる)
  • 呼吸をさぼる無呼吸

 

|RSウイルス感染で起こる細気管支炎

 

細気管支とは、主要な気管より更に末梢に分布する細い気管支のことです。急性細気管支炎とは、このより肺に近い気道(細気管支)にRSウイルスが感染し、様々な症状を起こす病態のことです。すべての患者さんの1〜3%が重症化し、入院治療を受けます。

 

細気管支炎の特徴的症状

  • 喘 鳴(ゼイゼイ・ヒューヒュー)
  • 呼吸困難
  • チアノーゼ(唇が紫色・顔色が蒼白)
  • 多呼吸(呼吸数の増加) 通常1分間に40回程度、60回近くなると要注意
  • 38.5℃以上の発熱は少ない

 

 

豆ちしき
細気管支炎は、咳がひどいのが特徴です。その症状と呼吸状態から喘息とまちがわれることがあります。


 

|細気管支炎重症化のリスクファクター

 

初めて感染発症した場合は重くなりやすいといわれており、乳期、特に乳児期早期(生後数週間〜数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、特に乳児期早期(生後数週間〜数カ月間)のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。次のような患者様はRSウイルス感染症による細気管支炎にかかった際に重症化しやすいリスクファクターがあります。

 

  • 生後1年以内の乳児(特に生後6ヶ月以内)
  • 早期産の低出生体重児(未熟児)
  • 循環器系の疾患を有する幼児
  • 呼吸機能の弱い高齢者
  • 慢性肺疾患患者(気管支喘息・慢性肺気腫など)
  • 神経・筋肉疾患を有する患者
  • 免疫不全患者

 

 

|RSウイルス感染症の合併症

 

RSウイルス感染症の合併症の多くは、細気管支炎が起因します。

 

無呼吸発作による急性脳症(乳幼児突然死症候群)

非常に重篤な合併症として注意すべきです。生後1か月未満の乳幼児はRSウイルスの感染頻度は低いといわれています。しかし感染した場合は、その症状が典型的でないため診断が困難となります。このため発見・診断が遅れ突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。この無呼吸が突然死(乳幼児突然死症候群)につながるといわれ注意が必要です。呼吸困難による無呼吸発作で、酸素欠乏の状態となります。このため急性脳症に陥ることがあります。生後6ヶ月以内で最も重症化するといわれています。

 

肺 炎

学童・大人のRSウイルス感染は肺炎のリスクもあります。小学生以上の学童や成人の場合RSウイルスが鼻から感染しやすいです。時々気管支炎を起こし、喘鳴を起こす細気管支炎や肺炎を起こすこともあります。その場合38℃以上の高熱が5日程度続いたりします。

 

喘 鳴

新生児も感染して発症し、がんこな無呼吸を起こすことがあるので注意が必要です。また、細気管支炎にかかったあとは、長期にわたって喘鳴を繰り返しやすいといわれています。

 

中耳炎

RSウイルス感染症による上気道炎の症状(鼻水・鼻ずまり)から1歳以下では中耳炎を合併することもあります。

 

 

|RSウイルス感染症の初感染と再感染

 

RSウイルスには生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の小児子がRSウイルスに最低1度は感染しますが、(ほとんどは症状が出ない不顕性感染です。その後RSウイルスは生涯にわたって感染を繰り返します。幼児期の初感染と再感染の違いは次のとおりです。

 

初感染  重症化することが多い(細気管支炎や肺炎へ移行)

 

再感染  一般的に軽症(上気道炎レベルで軽快)

 

RSウイルスには生涯にわたって何度も感染します。特に幼児期に再感染がよく見られますが多くは軽症で済むため、RSウイルスだと気が付かないことが多くあります。

RSウイルス感染症の検査と診断

RSウイルスの検査には次のようなものがあります。

 

ウイルス分離・血清学的検査(酵素抗体法)・免疫クロマトグラフィー法・遺伝子検出・胸部X線検査

 

ウイルス分離

呼吸器分泌物(鼻腔洗浄液・鼻咽頭拭い液など)よりRSウイルスを分離します。鼻腔洗浄液は鼻咽頭拭い液よりも分離率は良好です。検体を感受性のある HEp-2細胞 ・ HeLa細胞 に接種することにより、 3〜4日で合胞体の形態を示す特徴的な細胞変性効果を示します。この結果によりRSウイルス感染と診断できます。

 

RSウイルスは 熱・凍結融解・pH・塩濃度・蛋白濃度などに不安定なため、適切な保存液を用い、氷冷して(4℃)迅速に 搬送する必要があります

 

血清学的検査(酵素抗体法(ウイルス抗原の同定))

血清学的検査は、RSウイルに対しての抗体を検出する検査です。次のような方法があります。

 

  • 補体結合抗体法
  • 酵素抗体法
  • 蛍光抗体法
  • 中和抗体

 

血清学的検査のディメリット

  • ペア血清(急性期と慢性期両方の血清)が必要
  • 乳小児では抗体が上昇しないことがある
  • 年長児の再感染で抗体が有意に上昇しないことがある
  • 結果が出るまでに数日を要する

 

ペア血清(paired serum)とは?

同一患者から採取された1組の急性期血清および回復期血清のことです。感染初期の血清を急性期血清とし、病気が回復した後の血清を回復期血清とし、その抗体価の上昇を指標として血清学的診断を行います。感染症の診断、ワクチンの効果の判定に使用されます。

なぜペア血清法は必要なのですか?

一つの抗体価のみでRSウイルス感染症の病態を把握することは困難です。このため急性期と回復期(4〜6週後)の2回以上の血液検査(ペア血清法)が必要になります。必要ならば更に数カ月後の複数の血清を用いて結果を最終的に判断すべきです。

 

免疫クロマトグラフィー法(迅速検査・ウイルス抗原の同定)

インフルエンザ迅速検査と同様です。鼻に綿棒を入れて擦過し、その鼻汁のついた綿棒と試薬を使ってRSウイルスを検出します。30分程度で結果がでます。感度・特異度はいずれも70〜90%で、臨床上有用と考えられます。現在日本では <チェックRSV> <ラピッドテスタRSV-アデノ> などの免疫クロマトグラフィー法を用いた迅速診断キットが実用化されています。

 

2011年10月以前は <1歳未満の乳児でパリビズマブの投与を必要とする小児> <3歳以下で入院している患児> のみ保険が適応されました。しかし2011年10月以降は外来患者も保険適用の対象となりました。つまり2011年10月以前の日本におけるRSウイルス感染症患者の報告患者数は感染の実態を正確に反映していないということになります。

 

 

豆ちしき
冬季に乳児が鼻汁、咳に引き続いて喘鳴が現れた場合その30〜40%がRSウイルス感染症によると考えられます。簡便かつ迅速な検査なのでこのようなケースに有用です。


 

遺伝子検査

採取した呼吸器分泌物利用して、PCR法によりRSウイルスの遺伝子を検出する検査です。PCR法によりRSウイルスの遺伝子を大量に複製・増幅させることができます。保険適応はなく、特殊な施設のみで施行されます。

 

RT-PCR法(Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction)とは?

ウイルスの遺伝子(RNA)を検出し、それを逆転写酵素(Reverse Transcriptase)によりc-DNAを作製します。c-DNA を Polymerase Chain Reactionにより大量に増幅し、それを検出することにより確定診断します。

 

胸部X線検査

細気管支炎の診断は、胸部X線で行います。肺に空気が貯留する傾向になるので、肺野の透過性が比較的上昇します。気管支炎も肺炎も、同様に胸部X線で診断できます。

 

 

RSウイルス感染症の治療

RSウイルス感染症にはワクチンも特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(症状を和らげる治療)を行います。他の上気道炎と同様に水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静にして経過観察となります。重症化した場合には酸素投与・輸液(水分補給)・呼吸管理などを行うこともあります。

 

|RSウイルス感染症の症状に応じた治療法

 

RSウイルス感染症の症状に応じた治療は次のような方法があります。

 

発熱に対しての治療

発熱は一般的には39℃以下のことが多いです。全身の冷却(Cooling)と共に、解熱剤(アセトアミノフェン(カロナール))として内服薬・座薬などを用いて体温を調節致します。

 

脱水に対しての治療

RSウイルス感染症になり発熱や食欲不振になると脱水の傾向になります。更に喀痰が粘って喀出が困難になるので、水分の補給に努めます。乳幼児のミルクの飲みが悪い場合は輸液をしたりします。

 

咳・喘鳴に対しての治療

咳・喘鳴に対しては次のような薬剤を使用します。

 

  • 鎮咳去痰薬(気管支を拡げる薬)
  • 気管支拡張薬(痰を切りやすくする薬)
  • ステロイド(炎症を抑える薬)

 

ロイコトリエン受容体拮抗剤(オノン・キプレス・シングレア)は、元来気管支喘息で使用されている薬です。RSウイルスによる細気管支炎の回復期に咳や喘鳴の遷延を防ぐとの報告があります。

 

呼吸困難に対しての治療

RSウイルス感染所が悪化し細気管支炎になると、咳・喘鳴はもちろん呼吸困難・多呼吸の状況に陥ります。この場合入院して酸素投与するのみならず上記の薬剤治療も平行して行うことになります。更に呼吸状態が悪化した場合、人工呼吸器を装着し呼吸を補助する必要があります。特に早期産の低出生体重児や心臓に病気を持っている小児の患者様、一部のダウン症の患者様の場合は重症化するので、RSウイルスにかからないように予防が大切です。

 

細菌感染の合併に対しての治療

RSウイルス感染症となり全身状態が悪化すると抵抗力・免疫力が低下してきます。このため細菌感染を招き二次感染を引き起こします。二次感染の可能性があるときは抗生物質を使用します。

 

 

|RSウイルス感染症の抗ウイルス薬

 

RSウイルス感染症に対しての抗ウイルス薬には、パリビズマブとリバビリンがあります。

 

 1.パリビズマブ

 

RSウイルス感染症に対しての抗ウイルス薬には、パリビズマブ(Palivizumab)(商品名 シナジスSynagisR) があります。一般的にはRSウイルス感染予防のために使用されます。RSウイルス粒子表面のあるタンパク質(特異抗原)に特異的に結合する免疫グロブリン(特異的抗体(モノクローナル抗体))を薬剤化したもので分子標的治療薬の一つです。現在のところ保険適応はかなり厳密です。

 

パリビズマブは非常に高価な薬です。3kgの赤ちゃんで使うと1回約8万円弱になります。RSウイルス感染の流行期の前に、1ヶ月毎に5回筋肉に注射します。

 

  2.リバビリン

 

RSウイルスの治療薬としてアメリカで唯一治療薬として認可されているのはリバビリンです。日本では使用できません。微小粒子のエアロゾルとして 吸入にて用いられます。

 

多数のプラセボ対照研究において、重症度の軽減と酸素飽和度の改善 が認められているが、アメリカ小児科学会ではハイリスクの患者においてのみ投与を考慮すべきであるとしています。

RSウイルス感染症の予防

RSウイルス感染症の予防法には、代表的には次のような方法があります。

 

接触をさける ・ 消毒をする ・ 薬剤投与

 

|接触を避ける

 

RSウイルスは感染者との接触や感染者から飛散した気道分泌物を介して感染・伝播・拡大します。予防方法として最も重要なのは、感染者と接触を避けることです。RSウイルス流行期(10月頃から2月頃)には、次のような場所、行動を避けましょう。

 

  • 人の出入りが多い場所
  • 保育所の利用
  • 乳幼児と兄姉(学童、幼稚園児)との接触
  • 受動喫煙の環境

 

人の出入りが多い場所

流行期に生後6ヶ月未満の乳児を連れて外出をする場合には、人ごみを避けるなどの注意や、まわりの人が感染源にならないように注意する必要があります。RSウイルスはおとなのかぜの原因にもなります。また手洗いの励行による接触予防・マスクの着用による飛沫防止も有効です。

 

保育所の利用

保育所では多くの小児がその空間を共有しています。つまり接触・飛沫感染が多く起きる場所でもあります。実際乳幼児の患者様の多くは保育所でRSウイルスをもらってくるケースは多くあります。

 

0歳児と1歳児に日常的に接する職業の方(保育士など)は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用して0歳児、1歳児に接することが大切です。

 

乳幼児と兄姉(学童、幼稚園児)との接触

RSウイルスに感染した小児の患者様がいる家庭では、その感染者を隔離します。具体的には、感染しやすい乳幼児の寝室を他の風邪を引いている家族と別にした方がいいでしょう。児童・大人は上気道症状で治癒するので、RSウイルスが感染していても自覚症状が出ないことが多いのです。兄弟姉妹のうち年長児が風邪のような症状の時乳児とはなるべく接触させないように注意しましょう。

 

受動喫煙の環境

タバコの煙は気道を刺激するため、咳症状が悪化し喘鳴を起こしてしまいます。また感染後の症状悪化だけでなく、健康時にも気道の状態を悪くしてしまうためRSウイルスに感染するリスクも高くなると考えられます。

 

 

院長のひとりごと
小児期にRSウイルスに感染すると、喘息になりやすいという報告があります。やはり予防が第一です。


 

|消毒をする

 

RSウイルスは唾液や鼻水が付着したおもちゃ、これらに触れた手指を介して感染する接触感染と、咳やくしゃみによって発生する飛沫を介した飛沫感染によって感染します。予防策としては、感染者との接触や感染者から飛散した気道分泌物が付着したおもちゃやおしゃぶりなどによって感染することがありますから手をよく洗ったり、おもちゃやおしゃぶりなど赤ちゃんがお口に入れるものは清潔にしておいてください。日常的に手に触れるおもちゃやドアノブ・手すりなどはこまめにアルコール消毒を行いましょう。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生の励行を行います。また飛沫感染と接触感染が感染経路であるため、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底が重要となります。

 

RSウイルスは、色々な消毒剤に対する抵抗性が弱いウイルスです。消毒用アルコール・次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)・ポピドンヨード(イソジンなど)が有効です。

 

RSウイルス流行期に兄弟姉妹がカゼをひいている時には乳幼児は要注意です。家族全員で手洗いをして消毒・予防をしましょう。親子ともに、かぜをひいた人との接触を避けます。2歳を過ぎた子どもや大人が感染しても、症状が軽いためにRSウイルスだと気が付かないことがあります。1歳以下の乳児にいかに感染させないようにするかが重要なポイントになります。月齢の低い赤ちゃんでかぜと診断されても機嫌が悪い、元気がない、おっぱいやミルクの飲み方が悪い、熱が高い、せきがひどいときはもう一度受診しましょう。せきがひどく呼吸の状態がおかしい時は急いで受診しましょう。

 

 

|リスクが高い患者様に対してのケア

 

 1.乳幼児

 

RSウイルス感染症の感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。一方、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在しています。咳などの呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防に繋がります。

 

RSウイルスに対して母親からもらった免疫(抗体)では感染を防止できません。3〜6ヶ月ぐらいの乳児は母親からの免疫(抗体)がなくなる時期です。免疫力が弱く、RSウイルスに感染すると重症化しやすいので、その時期に感染しないようにすることが大事です。

 

 2.基礎疾患のある患者様

 

感染によって重症化するリスクの高い基礎疾患を有する小児の患者様への感染には特に注意が必要です。

 

  • 早産児
  • 生後24か月以下で心臓・肺に基礎疾患がある小児
  • 神経・筋疾患を有する小児
  • 免疫不全の基礎疾患を有する小児等

 

 

豆ちしき
RSウイルスは何度も感染してしまいます。最初の感染は重症化し、更に喘息になるリスクが高いのです。感染を繰り返すことで、大人は症状が軽くなります。


 

 

|薬物療法 モノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ

 

RSウイルスに現在のところワクチン(予防接種)はありません。日本でRSウイルスの予防には、パリビズマブ(Palivizumab) ・ ヒト血清由来の抗RSV免疫グロブリン が使用されています。

 

 1.パリビズマブ(Palivizumab)

 

遺伝子組換え技術を用いて作成されたモノクローナル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)を投与します。RSウイルス感染症の流行初期に投与し始めて流行期も引き続き1か月毎に筋肉注射することにより、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。投与対象患者となっているのは以下の方々で、パリビズマブ製剤の投与は保険適用となっています。

 

  • 在胎期間28週以下の早産で、12ヵ月齢以下の新生児及び乳児
  • 在胎期間29週〜35週の早産で、6ヵ月齢以下の新生児及び乳児
  • 過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
  • 24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児及び幼児
  • 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児及び幼児
  • 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児及び幼児

 

パリビズマブのその他の適応

  • 早産児
  • 慢性肺疾患を有 する小児
  • RSV院 内感染事例で、適切な対策を実施しても制御できない場合

 

本剤の添付文書では、投与に際しては学会等から提唱されているガイドライン等を参考とし、個々の症例ごとに本剤の適用を考慮すること、とされています。

 

パリビズマブ(Palivizumab)とは?

遺伝子組み換え 技術を用いて作成された、RSウイルスの表面蛋白の一つであるF(Fusion)蛋白に対するモノクローナル抗体製剤です。日本では2001年1月に承 認されました。これは、RSウイルス流行開始前から流行期の間、1回15mg/kgを1カ月毎に筋注します。現在予防効果が期待され、入院率の低下などの効果が確認されています。パリビズマブ(シナジス)は高額で、1回の注射にかかる費用が8?25万程度(体重により使用量が異なるため)かかりますが、健康保険が適用されます。また、乳児医療証が適用される場合もあります。

 

 2.ヒト血清由来 抗RSV免疫グロブリン

 

ヒト血清由来のRSウイルスに対しての抗体(免疫グロブリン)を投与し、予防とします。

 

予防のためのワクチン開発への努力は30年来続けられているが、過去の不活化ワクチンに おいて、接種者が非接種者よりも重症になるという失敗の経験もありました。このため現在研究開発中となっています。

 

|感染症法におけるRSウイルス感染症の取り扱い(2012年7月更新)

 

RSウイルス感染症は定点報告対象(5類感染症)であり、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎ごとに保健所に届け出なければなりません。これにより感染の実態を調査します。

RSウイルス感染症の疫学

RSウイルス感染症には疫学的に次のような特徴があります。

 

|RSウイルス感染症の流行シーズン

 

RSウイルス感染症の流行は、例年通常急激な立ち上がりをみせ11〜1月の冬季にピークがみられます。冬場に流行する感染症です。次のような流行パターンを示します。

 

  • 秋から感染者数が増加
  • 12月にピーク
  • 年明けは徐々に減少
  • 3月頃に鎮静化

 

RSウイルス感染症は例年冬期に報告数のピークが見られ、夏季は報告数が少ない状態が続いていましたが、2011年以降、7月頃から報告数の増加傾向がみられています。2014年の報告数は第30週から徐々に増加傾向がみられ、第34週から第37週にかけて急速な増加がみられました。さらに第45週以降、急激な増加が見られています。2012年は流行のスタートが早く、秋に流行がピークに達し、そのまま冬まで続きました。2012年10月初旬の週には、一週間あたり5,007例と過去10年で最も多い報告数を観測しました。今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。

 

 

|RSウイルス感染症の流行する場所

 

RSV感染症は世界中に存在し、地理的あるいは気候的には極端な偏りはありません。次のような特徴があります。

 

  • 一般的には温帯地域においては冬季(11〜1月)に流行
  • 2〜5カ月間持続初春まで持続
  • 熱帯地域では雨期の流行が多い
  • いずれの地域でも乳幼児に感染の影響大
  • 都市部において流行

 

|RSウイルス感染症の流行と症状

 

RSウイルス感染症の重症度とRSウイルスの活動性は一致します。つまりRSウイルスの流行レベルが上昇すると小児の細気管支炎や肺炎など、下気道疾患による入院者数が増加します。

 

 

豆ちしき
一般的にRSV感染症とインフルエンザの流行のピークは一致 しないとされています。


 

|RSウイルス感染症の流行と年代

 

都内では9月23日〜29日の1週間で、定点報告数が0.94人となっています。
これは、過去5年間の同じ時期と比較すると2番目に多くなっています。年齢別に見ると、0歳児が40.4%、1歳児が35.9%、2歳児が14.6%で、0歳〜2歳児までで全体の9割以上を占めています。 

 

乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50?90%を占めるとの報告がある[1]。1歳までに50?70%以上の新生児が罹患し、その1/3が下気道疾患を起こすと報告されていて、3歳までにほぼ全ての小児が抗体を獲得する。母親からの抗体では、感染が防げない。くり返し感染発症しながら徐々に免疫を獲得するので再発しやすく、徐々に軽症化する。

 

|RSウイルス感染症とウイルスサブタイプ

 

一般にRSVの流行では、これらの二つの型が同時に認められるが地理的、季節的にこれらの比率は様々であり、これがそれぞれの流行において臨床的なインパ クトが異なる原因の一つと考えられており、一般にA型RSウイルス感染症の方が重症化

 

 

 

 

 

一方、呼吸器 症状のない患者から分離されることは滅多にない。通常、すべての新生児では母体からの移 行抗体が母体と同レベル認められるが、徐々に減少し、7カ月以降に検出される抗体は通常、生後の自然感染によるものである。しかしながら、血中で検出され る抗体は即座に感染防御を 意味せず、抗体が存在している生後6カ月以内でもっとも重症化する。最初の一年間で50?70%以上の新生児が罹患し、3歳までにすべての小児が抗体を獲 得する。肺炎や細気管支炎など のRSVによる下気道症状は、ほとんどの場合は3歳以下で、入院事例のピークは2?5カ月齢に あるが、最初の3?4週齢では比較的少ない。また、年長児や成人における再感染は普遍的に 見られるが、重症となることは少ない。

 

 

軽い「鼻かぜ」程度ですむ場合から細気管支炎*や肺炎に至るまで症状は様々です。年齢が上がるほど症状は軽くなる傾向があります。
初めてかかった場合には、25-40%の乳幼児で細気管支炎や肺炎の徴候があらわれます。
ほとんどの場合、1〜2週間で徐々に回復しますが、重症例では、呼吸困難などのために入院が必要となる場合もあります。
? *:大変細い気管支の先端部分の炎症。息を吐く時に、ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がするのが特徴。

 

RSウイルス感染症は、「RSウイルス」というウイルスによって引き起こされる乳幼児の代表的な呼吸器疾患です。生後1歳までにほぼ半数の子どもが感染し、2〜3歳までにほぼ全ての子どもが経験します。RSウイルス感染症は、家族内でも高い率で感染することが明らかとなっており、大人になっても再感染を繰り返します。
ただし、小さい子どもほど細気管支炎や肺炎など重症化しやすく、注意が必要な感染症です。
潜伏期間は、4〜6日です。

 

年齢を問わず感染します。ただし、乳幼児(特に生後6ヶ月以内の乳幼児)の場合は重症化しやすい傾向があります。

 

保育園では多くのお子さんを同時にお預かりしていますよね。また、子どもを預けている保護者の方への支援は保育者の役割の一つです。こういった観点から、保育園では感染が広まらないよう、また園児の重症化を未然に防ぐよう、RSウイルス感染症が疑われる子どもの保護者の方に受診を勧めることが大切です。
そのためには保育士の方もしっかりと感染症の知識を持ち、保護者の方に伝えることができることが大事になってきます。また、非常に感染力が強いので、流行期間中の密な接触(子どもたちをホールに集めての保育、行事など)は控えましょう。

 

 

いかがでしたでしょうか。RSウイルス感染症を理解しておくことの重要性が伝わったかと思います。
もう一度ポイントをおさらいしておきます。
1. RSウイルスは乳児(1歳未満の赤ちゃん)が感染すると重症化する恐れがある
2. 2歳以上児や大人が感染しても風邪のような軽症でRSウイルスと気が付かずに乳児にうつしてしまうことがあるので、乳児だけではなく保育園の年中以上児や大人も感染には気を付けなければいけない

 

このように、感染症に関する知識は医師や看護師など医療関係者のみが持っていればよいものではありません。保育士や保護者、子どもに関わるすべての大人が持っていなければならないのです。
これからも当協会では感染症の情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。

 

 

? 乳幼児は特に注意
? RSウイルス感染症の症状をチェック
? 子どもの「かぜ」はあなどれない
? 特徴と注意
? 多くは症状を抑える治療が主流です
? 岡部先生からのお話のまとめ

 

乳幼児は特に注意
あまりなじみのない名前のウイルスですが、小さい子どもほど重くなりやすいウイルスによる呼吸器の感染症で、肺炎の原因となります。かぜのような軽い症状も含めて多くの子どもがかかります。乳幼児では細気管支炎、肺炎など重症化しやすく、また乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられており、注意が必要な感染症です。

 

感染力が非常に高く、一方では免疫の出来方が弱いためくり返し感染します。ただし回数がふえるほど軽くなり、2歳以上では「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。

 

「インフルエンザ」や他のウイルス感染症と区別する為に、鼻の粘液を採取し、短時間で判定を得ることが出来る検査もあります(健康保険での制約があり、赤ちゃんの入院のみ適応)。

 

RSV感染の致死率は1?3%と報告されているが、状況によりかなりの差違が あり、基礎疾患、特に心肺系疾患、免疫不全、低出生体重、そして低年齢などが致死率を上げ る危険因子となる。1980年代の心臓に基礎疾患のある小児入院例の研究では、致死率37%と する報告がある。

 

子どもの「かぜ」はあなどれない
症状の変化に注意
だれもが子どもの頃にひいたことのある冬の「かぜ」ですが、喘息のような苦しそうな咳と喘鳴(ぜいめい)が特徴で、治りにくいため長期にわたって症状が続きます。乳幼児では下気道炎や細気管支炎を起こしやすく、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとも考えられています。喘息や心疾患を持っている子どもでは特に重症化しやすく、持病の増悪につながるため注意が必要です。

 

子どもの「かぜ」はポピュラーな病気で、そのほとんどは軽くすみますが、「かぜ」は万病のもと。症状の変化には注意しましょう。

 

 

特徴と注意

 

感染力が強く、飛沫と接触感染の両方で感染する。
一度かかっても免疫ができにくく、くり返し感染しながら徐々に免疫ができてくる。
3?6ヶ月ぐらいの乳児は免疫力が弱く重症化しやすい(母親からの免疫がなくなる時期)。
呼吸機能が未発達な低出生体重児における新生児・乳児期の感染は重症化しやすいと言われている。
乳児の場合は呼吸数に注意(通常1分間に40回程度、60回近くなると要注意)。
喘息や先天性心疾患を持つ小さい子どもは重症化しやすい。

 

 

冬場に流行する、小児、特に乳幼児に多く見られる感染症で、乳幼児では急性細気管支炎、肺炎などの重い呼吸器症状をおこしやすく、呼吸器や心臓に慢性の病気を持つ小さい子どもに対しては特に注意が必要です。

 

脱水症状や、タンがつまってゼイゼイするようなせきがでて苦しそうにしている場合は、医療機関を受診する必要があります。

 

一回の感染では免疫のでき方が弱いため感染をくり返しますが、大きくなるにしたがって症状は徐々に軽くなっていきます。

 

飛沫感染と接触感染によってうつるため、乳幼児の多い保育園では感染が広がりやすいことがあります。「かぜ」の対策として“手を洗うこと”も重要です。

 

 

病気に気づいたらどうする
 RSウイルス感染症は、保育所などで施設内流行を生じやすいので、注意が必要です。また、家族内感染も高い率で起きます。飛沫や接触により感染するので、患者さんの気道分泌物の付着した物の扱いに注意し、手洗いとうがいを励行してください。

 

気管支喘息の子どもでは、RSウイルスに感染すると、喘息発作が誘発されます。

 

 成人では通常は感冒様症状のみですが、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があります。また、RSウイルスは高齢者においても急性のしばしば重症の下気道炎を起こす原因となることが知られていて、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります

 

感染力および増殖力は強く、飛沫と接触感染の両方で感染し、発症前の潜伏期にも周囲の人を感染させる。小児は症状が消えてから1?3週間後も感染力を失わない[2]。このため保育園や学校、病院の入院病棟、老人ホーム、家庭内などでの集団感染へつながりやすい。治療薬も存在しないため通常は症状抑制や栄養補給などの支援療法しかなく(ただし米国ではC型肝炎向けの抗ウイルス製剤が吸引薬として認可されている)、院内での集団感染においてはコホーティングや遠隔個室移送などの隔離策が採られる。眼および鼻などの粘膜からも感染すると考えられていて、通常の鼻と口を覆うマスクでは効果はないとされている[1]。
以上の特性から、患者とともにいる家族や医療従事者や園児、生徒らのうち、スキンシップや付近同席や看病など、患者への至近接近や同室、接触があった者およびその時間の長かった者が、重度の気管支炎やインフルエンザ様症状をおこすことがある。これは医学的常識として、キャリア本人の病原となる病原数よりも、咳などで随時まき散らされる(キャリア体内で増殖した=随時生産された)病原数のほうが時間に比例して増加していくため同室内では次第に多くなっていくためであり、これが施設内集団感染へつながり[1]、これは機密性の高い密室および施設で空調が効いているような環境では顕著である。ゆえに通常の屋外での空気感染では学童以上、青年や成人がたとえ発症しても通常感冒のみにとどまる。

 

 

 院内感染は、主に患者との濃厚接触や分泌物に汚染された表面への接触によるので、予防には標準予防策と接触感 染予防策が推奨される。可能であれば、患者の隔離とスタッフのコホーティングも有用である。ガウンとマスクの使用は対照研究では、厳重な手洗いに勝る効果 は 証明されていないが、院内感染率を低下させるとする報告もある。しかしながら、RSVは鼻および眼からも感染すると考えられており、通常の鼻と口を覆うマ スクでは限られた効果しかな いとされる。

 

RSウイルスは、成人で免疫不全の有る場合や乳幼児では劇症化し気管支炎・肺炎などの原因になることもある。感染症法でRSウイルス感染症は五類感染症(定点把握)とされている。感染により発症する宿主は、ヒト、チンパンジー、ウシで、無症状のヤギなどからも分離される。

 

RSVは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50?90%を占めると報告されており、より年長の小児においても気管支炎の10?30%に関与し ていると考えられている。

田島クリニック

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