横浜・馬車道の総合診療クリニック

溶連菌感染症とは?

溶連菌(ようれんきん)とは正式には溶血性連鎖球菌と言い、上気道炎や皮膚の化膿など、様々な感染症の原因となる細菌(Bacteria)です。顕微鏡でのぞくと、菌体同士が1列に配列し鎖が連なっているように見えることから <連鎖(れんさ)> 球菌と呼ばれています。

 

溶連菌感染症(Streptococcal infection)は、広義にはグラム陽性球菌のうち連鎖球菌属(Streptococcus, 複数形は-cocci)によって惹き起こされる感染症全てを指します。しかし連鎖球菌属のうち特に感染症を起こす頻度が高く、一般によく知られているのは化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)であるため、通常単に <溶連菌> といえば化膿連鎖球菌の事を指し、<溶連菌感染症> といえば化膿連鎖球菌による感染症のことを指します。

溶連菌感染症の原因

| 化膿性連鎖球菌 (Streptococcus pyogenes)とは?

 

溶連菌とは、正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌です。一般にはA群溶血性連鎖球菌(A群β溶血性連鎖球菌)による感染症が溶連菌感染症として理解されています。菌体の名前は化膿性連鎖球菌 (Streptococcus pyogenes)と呼びます。化膿連鎖球菌には他に <A群連鎖球菌>(Group A streptococcus, GAS)という別名もあります。次のような特徴があります。

 

  • グラム陽性の球菌
  • 通性嫌気性菌
  • ヒツジ赤血球加血液寒天培地上でβ溶血(完全溶血)する(α溶血は不完全溶血・γ溶血は非溶血)
  • 細胞表層に蛋白抗原(M 蛋白・T 蛋白))M蛋白100以上 ・ T蛋白約50以上のサブタイプ)
  • 溶連菌感染症の90%以上 A群

 

溶連菌の分類方法

1.溶血の形態 (α溶血(不完全溶血) ・ β溶血(完全溶血) ・ γ溶血(非溶血))
2.細胞壁の多糖体の抗原性により分類 Lancefield A〜V 群(I, J は除く)
3.β溶血をする溶連菌でヒトに病原性を有するもの A群・B群・C群・G群

 

化膿性連鎖球菌 (Streptococcus pyogenes)は溶血毒素・発熱毒素(発赤毒素)・核酸分解酵素・ストレプトキナーゼなど、種々の活性蛋白物質を産生して細胞外に分泌 し、種々の症状を起こします。

 

 

| 溶連菌感染症の感染経路

 

溶連菌感染症は家庭内・学校・幼稚園・保育所・会社など、人の集団の中で広く保菌されています。感染経路は飛沫・経口感染です。感染者の咳・くしゃみ・唾などのしぶきによって感染します。または排出された細菌が手などを介し、口に入ることによって感染します。

 

  • 感染力は急性期に最強
  • 急性期の兄弟間での感染率は約25%
  • 一般的には 小児⇒小児 への感染
  • 抵抗力の低下した大人・妊婦への感染には要注意

溶連菌感染症の症状

|溶連菌感染症の特徴

 

A群溶血性連鎖球菌は、菌の侵入部位や組織によって上気道炎や化膿性皮膚感染症などの多彩な臨床症状を引き起こします。溶連菌感染症の代表的な症状は、発熱(38〜39℃)と咽頭痛(急性咽頭炎・急性扁桃炎)です。体や手足に小さくて紅い発疹が出たり(猩紅熱)、舌にイチゴのようなツブツブができたりします(イチゴ舌)。そのほかに頭痛・腹痛・首すじのリンパ節腫脹も見られます。急性期を過ぎますと、発疹のあとには落屑(皮むけ)が認められるようになります。風邪と違って咳や鼻水(カタル症状)が出ないというのもこの病気の特徴です。溶連菌感染症には潜伏期間があり、実際に感染後2〜5日で症状が出現します。

 

  • 溶連菌感染症の潜伏期間  2〜5日間
  • 溶連菌感染症の流行時期 通年で感染・特に春〜夏・冬(2回流行のピーク)
  • 急性期に感染力は最大

 

|溶連菌感染症の症状

 

溶連菌感染によって起こる病気は、急性感染症と毒素性疾患の2つに分類されます。

 

急性感染症  菌が組織を直接破壊・菌に対する免疫反応により症状発現(急性咽頭炎・急性扁桃炎など)
毒素性疾患  菌の産生する毒素が引き起こす疾患(猩紅熱など)

 

免疫異常によって起こると考えられている病気の中には、溶連菌感染が引き金になることが知られているものも多くあります

 

 

急性咽頭炎・急性扁桃炎

一般に溶連菌感染症は、小年長小児から成人に発症する咽頭炎や扁桃腺炎を指します。

 

 

症状
咽頭炎・扁桃腺炎 発熱(90%以上)、のどが痛い、のどが赤い、扁桃腺に白いものがつく。
口蓋の点状紅斑・点状出血斑 口の中に赤い小さな点状の出血斑が認められます。
イチゴ舌 舌の表面が、イチゴの表面のようになることがあります。(発病2〜4日目)
全身発疹 顔やからだ(特にわきの下、下腹部)に、小さい赤い発疹が多数出現し(発病1〜2日目)、かゆみを伴うことも多いようです。
皮膚落屑 ほかの症状が消えた後(5〜6日目以降)に手足の指先から皮がむけてきます。

 

 

溶連菌が起こす病気
? 粘膜
咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、中耳炎、副鼻腔炎など
? 皮膚・軟部組織
伝染性膿痂疹、蜂窩織炎、丹毒など
? その他
肺炎、菌血症、トキシックショック症候群など

 

 

日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がある。これら以外にも中耳炎、肺炎、化 膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こす。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られている。 さらに、発症機序、病態生理は不明であるが、軟部組織壊死を伴い、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症 候群)は重篤な病態として問題である。

 

“のど”に感染する病原体
“のど”に感染する病原体は、風邪に関係するいろいろなウイルスや細菌があります。細菌では溶連菌が代表的ですが、ほかに肺炎球菌やインフルエンザ菌(インフルエンザとは関係ありません)といったものがあります。

 

合併症
直接的な合併症 中耳炎・気管支炎・リンパ節炎・副鼻腔炎など
急性腎炎 溶連菌感染後、3〜4週後に発生することが多く、突然、むくみ、尿が少なくなり、血尿や蛋白尿が出たり、血圧が上がるなどの症状があります。安静、食事や運動の制限や入院が必要になることがあります。
リウマチ熱 溶連菌感染後に、発熱や身体の各部に炎症が認められます。(多関節炎、不随意運動、皮下結節、心炎) 

 

 

 症状の現れ方

 

 

1. 発熱

溶連菌に感染すると、2〜5日の潜伏期間の後、突然38〜39℃の高い熱が出ます。多くの場合咽頭痛を伴います。頭痛・腹痛・嘔気・鼻閉などを伴うこともありますが、咳や鼻汁などの一般的なカタル症状・気道症状にはあまり見られません。

 

2. 咽頭発赤・咽頭痛

溶連菌感染症でよく見られるのが咽頭炎や扁桃腺炎です。次のような所見が認められた場合溶連菌感染による急性咽頭炎・急性扁桃炎の可能性が高くなります。

 

  • 発熱を伴った咽頭の著しく発赤
  • 口蓋扁桃(扁桃腺)の腫脹・黄白色滲出物の付着
  • 口蓋垂(のどちんこ周辺)に赤く小さな点々(点状紅斑)
  • 前頚部リンパ節(所属リンパ節)に圧痛・腫脹

 

一般的に他の細菌・ウイルス感染でも同症状は多く見られます。のどが痛く腫れて膿も付着しているというだけでは溶連菌感染症と断定できません。

 

 

3.イチゴ舌

溶連菌感染症ではイチゴ舌が認められることがあります。イチゴ舌は、舌に赤いブツブツができイチゴのように見えます。

 

イチゴ舌は、咽頭炎と同様に溶連菌感染症特有の症状ではなく川崎病という病気でも起こることがあります。

 

 

4.皮膚症状

溶連菌感染では多彩な皮膚症状がことがあります。発熱と共にかゆみを伴う赤く細かい皮疹が全身に出現します。熱が下がると手足の皮膚がむけることもあります。

 

発熱してから1〜2日で出現することが多いと言われていますが、咽頭痛・発熱などなく皮膚症状のみが出現する場合もあります。

 

 

 検査と診断

 

臨床症状と咽頭ぬぐい液による迅速検査で診断

 

 治 療

 

ペニシリン系抗菌薬の内服

 

 注意点

 

3歳以下の小児や大人が感染した場合は、溶連菌感染症の典型的な症状出にくいといわれています。特に乳幼児では典型的な咽頭扁桃炎の症状が出現せす発熱が軽度で持続したり、全身のリンパ節の腫脹が見られたり、鼻汁を伴う場合も見られます。

 

 

猩紅熱(しょうこうねつ Scarlet Fever)

猩紅熱とは、A群溶連菌に感染し、咽頭炎・扁桃炎だけでなく全身に発疹も現れる病気です。主に幼児〜学童期の患者様にみられます。

 

 原 因

 

溶連菌の産生する毒素及び菌体に対する免疫アレルギー疾患です。

 

 症状の現れ方

 

猩紅熱では全身が日焼けしたように赤くなったり、点状紅斑(赤い斑点のような皮疹)が出現したりします。通常、脇や肘、鼠径部(股関節部分)など、よく曲がる関節に皮疹が強く出ます。

 

  • 潜伏期間は1〜7日
  • 感染者との接触により感染
  • 突然の発熱や咽頭痛が初発症状
  • 12〜24時間後に、点状の赤い発疹が拡大(体幹⇒末梢 サンドペーパー様皮疹)
  • いちご舌(舌苔の消失失・赤く発赤・味蕾による小さな隆起)  
  • 約1週間後発疹から皮膚の剥離(皮がむける)

 

 検査と診断

 

臨床症状と咽頭ぬぐい液による迅速検査で診断可能

 

 治 療

 

ペニシリン系抗菌薬の内服

 

 注意点

 

発熱や発疹を認めたらすぐに医療機関を受診してください。解熱し発疹が消失すれば感染力はほとんどなくなるので、登校や登園には問題ありません。家族内で感染する例が30〜50%あるので注意が必要です。

 

猩紅熱は以前は法定伝染病に指定されていましたが、1999年に施行された感染症新法では、隔離などの法的規制はなくなりました。

 

 

リウマチ熱(Rheumatic Fever, RF)

溶連菌の感染により発熱・関節痛・手足の異常運動・心臓の障害などを引き起こします。溶連菌感染症から数週間経過後に発症します。膠原病の関節リウマチとはまったく異なる疾患です。

 

 原 因

 

溶連菌菌体に、人体組織が類似した抗原部分が存在します。この抗原に対し発生した抗体が、誤って自身の組織を攻撃し、組織が障害され発症します(自己免疫疾患)。

 

 症状の現れ方

 

病初期はのどの痛み、そして2〜3週間後に発熱と関節痛で発病します。主な症状は発熱・多関節炎・心炎・発疹(輪状紅斑)・皮下結節・不随意運動などです。

 

1. 発熱

リウマチ熱という名前の通り初期症状として発熱があります。その他疲労感・倦怠感・食欲不振などリウマチ熱発症初期は元気がなくなります。

 

2. 多発性関節炎

 

  • リウマチ熱の症例の約70%に発症
  • 高熱を発症
  • 熱感をともなう関節痛(肩・肘・膝・足首など比較的大きな関節に炎症)
  • あまり腫脹しない
  • 関節痛は移動性(リウマチ熱の特徴)
  • 関節の変形はなし(関節リウマチとの違い)

 

リウマチ熱の関節痛みは消炎鎮痛剤がよく効きますが、抗生剤治療と共に経過観察しても2週間ほどで軽快します。

 

3. 心 炎

リウマチ熱を発症すると、心内膜炎・心膜炎・心筋炎などを発症することがあります。最も重大な合併症で約50%の患者さんに発症します。心臓の弁(僧帽弁・大動脈弁など)に炎症が及ぶと弁膜症の原因となります。
弁膜症になると動悸・息切れ・胸痛・易疲労感などの症状が発現し、重症化すると手術治療の対象となります。

 

 

【後遺症】
●弁膜症
リウマチ熱で最も注意すべきなのがこの弁膜症です。関節炎などは放置していてもよくなってしまうのならなぜ治療や予防が必要なのか?それはこの恐ろしい後遺症があるからなのです!リウマチ熱患者の約3割が弁膜症になると言われています。弁膜症とは心臓の弁の異常のことで、主に僧房弁や大動脈弁に見られます。弁が障害されると血液がうまく心臓から送り出せず、将来的に心不全の原因にもなります。重症になると、突然死の原因にもなり、治療に手術が必要になる怖い病気です。

 

 

 

4. 不随意運動・舞踏病

リウマチ熱の炎症が中枢神経にまで波及すると脳の運動をコントロールしている部分が障害されます。これにより、身体が勝手に動いてしまう <不随意運動> などの運動障害が出現します。

 

不随意運動の症状

  • 文字がうまく書けない
  • 食事や着替えが一人でできない
  • 日常生活に支障をきたす

舞踏病の症状

  • 筋肉群が不規則・不随意・無目的な運動
  • 踊っているような手ぶり身ぶりを示す
  • 主に手足・顔にで顕著(躯幹にも現れる)
  • ウマチ熱の後期に発現することが多く
  • 溶連菌感染から1〜6か月後に出現しやすい
  • 関節炎と同様に経過観察で半年以内には症状改善

 

舞踏病は錐体外路の障害によって現れる症候群です。脳の異常で起こるハンチントン病、脳動脈の硬化で起こる老人性舞踏病、子供のリウマチ熱に伴って起こる小舞踏病などがあります。小児の場合チックや多動症として見過ごされるケースもあります。

 

5. 輪状紅斑

リウマチ熱になると輪状紅斑が出現するとこがあります。皮疹の中心部が白く抜けたリング状の赤い皮疹のことです。胸やお腹などの体幹部に多く見られます。痛みや痒みはありません。

 

6. 皮下結節

リウマチ熱になると皮膚の下にしこりが認められることがあります。無痛性の小結節です。関節の表面に見られることが多いです。結節は触ると少し可動性があります。発赤はありません。

 

 

 検査と診断

 

リウマチ熱の診断はのどの細菌培養・迅速診断キット・血清抗体検査(ASO・ASK)などで確定診断されます。急性期には血液検査で炎症反応が陽性です。心臓の病変は心雑音の有無や、心臓の超音波検査で診断します。

 

 治 療

 

リウマチ熱  抗生剤を投与(ペニシリン系抗生剤10〜14日間連続服用)
心 炎     ステロイド薬
関節炎    非ステロイド性消炎鎮痛薬
舞踏病    抗けいれん薬

 

適切な治療後通常関節炎は3〜4週間で軽快します。心炎は早期に適切な治療を開始すれば、ある程度軽快しますが、なかにはリウマチ性弁膜症を残すこともあります。

 

 再発予防

 

一度リウマチ熱にかかると溶連菌感染で再発しやすいので、予防のために抗生剤をのみ続けなければなりません。予防する期間は、最低でも約5年間は必要です。弁膜症になったら一生のみ続けなければならないこともあります。

 

 注意点

 

小児科で溶連菌感染の正しい診断とその後の管理をしてもらう必要があります。心臓の病変は一生を左右するので、早めの対応が重要です。

 

散発的な流行はありますが、最近はまれになりました。学童期の子どもに多く発症します。

 

 

急性糸球体腎炎(Acute glomerulonephritis AGN)

溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、溶連菌感染症が原因で糸球体に炎症を起こした状態です。溶連菌感染症の発症から10日前後に血尿や蛋白尿などの症状が出現する腎臓の病気です。溶連菌感染症の好発年齢である子供に多く見られ、適切な治療を行えば完治するが多いです。上気道炎や皮膚化膿症を起こすA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因の90%以上となります。溶連菌による呼吸器感染からは1〜2週間後、皮膚感染からは3〜6週間後に発症することがあります。

 

 原 因     免疫複合体の形成・補体の活性化

 

溶連菌感染が起こると、生体は防御するための免疫反応として溶連菌成分に対する抗体を産生します。溶連菌の菌体成分または溶連菌が産生する抗原と、患者が産生する抗体とが結合した

 

<免疫複合体(抗原抗体複合物)>

 

が形成されます。それが血流に乗って腎臓内の糸球体に運ばれて網目に沈着することで炎症が引き起こされます。更にもう1つの免疫成分である補体も活性化されます。炎症が更に増悪し結果的に糸球体の目詰まりや破壊が生じて急性糸球体腎炎になります。

 

 

 病 態

 

腎臓の役割

腎臓の本態は糸球体とそれに続く尿細管です。その濾液(原尿)が細長い尿細管に入り、必要なものは再吸収されて血液に戻り、残りを尿として排泄することで血液を正常化しています。

 

糸球体とは?

糸球体は球状の毛細血管のかたまりで、流れ込んできた血液を濾過します。いわば網目の細かいざる・コーヒーのフィルターの様なものです。ここに炎症が生じ、免疫複合体が沈着すると網目が目詰まりし、血液の濾過ができなくなり、尿の産生が減少(乏尿)します。

 

溶連菌感染後急性糸球体腎炎の病態

糸球体で血液の濾過ができなくなり、尿の産生が減少すると、体内に水分や塩分が過剰になるため血圧が高くなり、浮腫(むくみ)が出現します。老廃物も排泄されないため、体内に蓄積します。それを反映して、血液中の尿素窒素(BUN)やクレアチニン(CRE)が次第に高くなります。また障害された糸球体からは、再吸収されるはずの蛋白・赤血球・白血球がもれ出て蛋白尿や血尿となります。

 

 

 症状の現れ方

 

溶連菌感染後急性糸球体腎炎の3大症状(Trias)は、血尿・浮腫・高血圧 です。多くは咽頭炎・扁桃炎などの上気道炎から、1〜2週間(平均10日)の潜伏期をおいて、突然に血尿・蛋白尿・乏尿・浮腫・高血圧などの症状で発症します。

 

1. 血 尿

血尿とは尿に血が混ざっている状態のことです。血液が目で見てもわからない程微量なこともあります。

 

  • 肉眼的血尿  目で見てわかる血尿
  • 顕微鏡的血尿 肉眼的には普通尿・顕微鏡で尿中に赤血球の存在が確認できる血尿

 

溶連菌感染後急性糸球体腎炎では肉眼的血尿は30%ですが顕微鏡的血尿は全例にみられます。肉眼的血尿も尿の色が真赤から茶褐色までレベルは様々です。

 

2. 蛋白尿

蛋白尿は尿検査で発見される症状です。なかなか自覚できるものではありませんが、尿がいつもより泡立ちやすくなると言われています。蛋白は血液中の水分を血管内にとどめる役目があります。蛋白尿により蛋白が少なくなると、水分が血管外に漏れ出し、顔や足などの組織に水分が溜まり浮腫(むくみ)の原因になります。

 

3. 浮腫(むくみ)

健常者でも長時間立っていると足のむくみが見られることがありますが、一晩寝たら治っていることが多いかと思います。急性糸球体腎炎の場合は浮腫が急速に出現し持続します。また足だけでなく顔やまぶたにも浮腫が見られます。余分な水分が体内に貯留することで浮腫となります。浮腫により体重も増加します。

 

むくみは顔面、とくにまぶたのむくみに起床時に気づくことがよくあります。

 

4. 高血圧

腎臓は血圧をコントロールする大事な臓器ですので、急性糸球体腎炎により腎臓の機能が障害されると血圧が高くなります。血圧は高血圧(収縮期血圧140mmHg / 拡張期血圧90mmHg)に達しなくても、ほとんどが通常の血圧より上昇します。高血圧により頭痛や吐き気が現れる場合もあります。

 

5. 乏 尿

溶連菌感染後急性糸球体腎炎では糸球体のろ過機能が障害され尿量が少なくなります(乏尿)。重症化すると乏尿になり身体に余分な水分がどんどん貯留し浮腫(むくみ)が悪化します。

 

6. 呼吸困難

浮腫(むくみ)が悪化すると顔や足だけでなく肺に水分が貯留します。肺胞でのガス交換(O2・CO2)が障害され呼吸困難になります。この状態を肺水腫と言います。少し動いただけで息切れを起こしたり、横になると息が苦しくなったりします。

 

極期(症状のピーク)を過ぎて再び尿が出始めると、これらの症状は急速に改善します。

 

 検査と診断

 

溶連菌の感染があり、2週間の潜伏期の後に血尿が出現し、更に補体の低下が認められれば溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断可能です。

 

 

 治 療

 

一般的に溶連菌感染後急性糸球体腎炎は自然に軽快する疾患ですので、治療は症状の軽減と合併症の予防、腎臓の保護が基本です。保温と安静を守り、腎臓に流れる血流を減らさないようにします。更なる治療法は次のような方法があります。一般に、1〜2週間で回復に向かうと尿量が増加し症状は急速に改善します。

 

食事制限・薬物療法(降圧剤・利尿剤・抗生剤)・血液透析

 

食事療法・水分制限

塩分と蛋白質は腎臓に負担をかけるので制限します。制限のレベルは腎障害の程度によります。水分も過剰でむくんでいますので、1日の水分量を尿量+800ml(汗や呼吸で排泄される水分)以下にします。摂取量より排泄量が多くなるようバランスをとらないと、改善しないからです。尿が極端に少ない場合は、カリウム含有量の多い生野菜・果物・芋類も制限が必要になります。

 

降圧剤投与

高血圧が著しいときにはカルシウム受容体拮抗薬(Ca Blocker)・アンギオテンシン受容体拮抗剤(ARB)などの降圧薬を用います。

 

利尿剤投与

体内に貯留した水分を利尿剤を投与し尿量を確保し増加させることで体外に放出します。

 

血液透析

利尿剤に反応が悪く浮腫が軽快しない場合一時的に血液透析が必要になることもあります。

 

抗生剤投与

腎炎発症時に溶連菌残存の可能性は少ないですが、残存していた時予後を悪くする可能性があります。また他者への感染予防の目的で抗生剤を投与します。

 

溶連菌感染後急性糸球体腎炎は溶連菌の初感染を起こす4〜12歳の小児に多い疾患です。以前は頻度の高い腎炎で、集団発生もありました。しかし、衛生環境がよくなり、溶連菌感染に対して早期に抗生剤が投与されるため、最近では非常に減少し軽症化しています。

 

 

院長のひとりごと
過去に数例とてもかわいそうな症例に出会ったことがあります。予後良好といわれる溶連菌感染後急性糸球体腎炎ですが、重症化してそのまま腎機能が失われ一生血液透析になった小児の患者様を受け持ったことがあります。両肘内側にはシャンとのための手術がさなれ、顔色は子供なのに茶褐色となっていました。溶連菌に感染し溶連菌感染後急性糸球体腎炎になって時、万一のためにきちんと治療することが必要なんだなと痛感致しました。


 

 注意点

 

典型的な自覚症状は、血尿・浮腫(むくみ)・血圧上昇・尿量減少などです。これらの症状は、予後不良な腎炎・膠原病・腫瘍性疾患・遺伝性の疾患・心臓疾患など様々な病気で起こります。異常に気づいた場合は小児科もしくは内科をすぐに受診してください。一般的に慢性化することは稀です。小児の予後は極めて良好でほとんどが治癒します。成人では30〜50%に、何らかの異常が遷延するといわれています。その場合慎重な経過観察が必要です。女性の場合、完全に治癒しても1年間は妊娠を避けたほうがよいとされています。

 

伝染性膿痂疹(Impetigo contaginosa)

一般的に皮膚に形成される <とびひ> として知られています。伝染性膿痂疹の多くは黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が原因ですが溶連菌感染症によるものも少なくありません。病変を掻破した爪によって皮膚の他部位に細菌が播種され、播種された先にまた膿痂を形成します。発熱は伴わないことが多く一般的には全身的症状はありません。但しアトピー性皮膚炎の患児や水痘の経過中に発症した場合などには重症化する場合があり注意が必要です。治療にはペニシリン系抗菌薬の内服や抗生剤の外用薬が有効です。

 

黄色ブドウ球菌によるものは周囲に紅暈(皮膚が部分的に充血して赤く見える)を伴う <黄色い膿(膿痂)> が皮膚に形成されるのが溶連菌感染症との違いです

 

劇症型溶連菌感染症(Severe invasive streptococcal disease)

溶連菌急性感染症の最も重症な病型であり、後述する毒素性ショック症候群とともに <劇症型溶連菌感染症(Severe invasive streptococcal disease)> と呼ばれています。軟部組織へ溶連菌の侵入し急速に組織を傷害して行った場合壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)と呼ばれます。

 

 

原 因     軟部組織への溶連菌の侵入

 

通常の溶連菌感染症とは異なり、傷口から軟部組織に溶連菌が侵入、感染することで引き起こされます。急性咽頭炎などの通常の溶連菌感染を起こしても劇症型溶連菌感染症に移行することはありません。原因菌は同じですが溶連菌感染症と劇症型溶連菌感染症は別の病態です。

 

 

病 態

 

壊死性筋膜炎は急速に進行する軟部組織の感染症です。指先や足先など四肢の末端部から、1時間に数cmもの速さで組織の壊死が進行して行きます。また軟部組織に溶連菌が感染し急速に進行することで血圧が低下し、肝臓や腎臓など様々な臓器が障害される多臓器不全(Multiple Organ Failure MOF)を引き起こします。筋肉などの組織を壊死させるため、人食いバクテリアとも呼ばれています。

 

 

症状の現れ方

 

初期に発熱・筋肉痛・傷口の腫れ・発赤が出現します。その後高熱・全身状態不良・局所の腫脹・疼痛が主な症状となります。その後急激に症状が進行していきます。劇症型レンサ球菌感染症の進行は非常に早く、発症から数十時間で死に至ることもあり、注意が必要です。傷口が赤く腫れ痛みを伴う場合は、この病気も念頭に入れ速やかに病院を受診することをお勧めします。死亡率は30%以上とかなり高いです。外傷・熱傷・水痘などで皮膚が障害されている場合に、発症の危険性は高くなります。

 

 

治 療

 

劇症型溶連菌感染症・壊死性筋膜炎には次のような治療が必要です。

 

  • 薬物治療    抗生剤ペニシリンの大量静注に加えてクリンダマイシンの静注・全身投与
  • 外科的治療   壊死組織の外科的除去(デブリードマン)・切開排膿や掻爬部位の治療
  • 合併症治療   敗血症から発症するDICや多臓器不全への対症療法

 

溶連菌はその他に化膿性リンパ節炎・蜂窩織炎・化膿性関節炎・骨髄炎・結膜炎など様々な感染症を起こします。溶連菌感染症はペニシリン系に対する感受性は常に良好です。どの部位の感染症に対してもペニシリン系抗菌薬の投与が第一選択となります。

 

注意点

 

日本では毎年100〜200人ほどが発症しており、死亡率は30%と高率です。通常の溶連菌感染症と異なり、子供から大人まで様々な年齢層で発症の危険性があります。なかでも30代以上に多く見られます。また高齢者など免疫力が弱い人だけでなく、免疫力が正常な健康な人も突然発症する可能性があります。

 

菌血症(Bacteremia)・敗血症(Sepsis)・毒素性ショック症候群(Toxic Shock Syndrome TSS)

溶連菌が血液中に放出され感染すると、生命を脅かす様々な重篤な症状が発現します。

 

菌血症

菌血症とは血液内に細菌が侵入した状態です。溶連菌だけでなく全ての細菌が菌血症を引き起こす可能性があります。健常人の血液内に細菌が侵入しても身体の免疫機能により速やかに排除され症状は出現しません。しかし特定の細菌が血液内に侵入することで、重篤な症状である敗血症を引き起こすことがあります。小児や高齢者の患者様など免疫力が弱い方は特に注意が必要です。

 

敗血症

敗血症は菌血症が重症化し全身症状が出現した状態です。発熱や血圧の低下が見られ、呼吸数や心拍数が上昇します。更にに重症化すると敗血症性ショックとなります。著しい低血圧となり、脳や腎臓などの重要な臓器に充分な血液が供給されません。これにより多臓器不全となり呼吸困難や意識障害を生じます。敗血症性ショックは致死的な病態です。

 

毒素性ショック症候群(Toxic Shock Syndrome TSS)

溶連菌から血流中に放出された毒素に対する免疫アレルギー反応により、急性のショック状態を発症し、多臓器不全に至る病態です。既に毒素は血中に流れているため、抗菌薬では治療できず、ガンマグロブリン投与や血液浄化法(血漿交換、持続的血液濾過透析など)が必要となる。

 

TSSの起炎菌としてはTSS toxin-1(TSST-1)産生性の黄色ブドウ球菌が典型的ですが、溶連菌によるものもあります。

 

血管性紫斑病(Henoch-Schonlein purpura HSP)・ アレルギー性紫斑病

溶連菌感染症は血管性紫斑病(アレルギー性紫斑病・アナフィラクトイド紫斑病・ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)という血管病を引き起こします。これは溶連菌だけでなく他の細菌やウイルスなどに感染しても発症する可能性があります。子供に多く、男児にやや多めに見られます。

 

 症状の現れ方

 

溶連菌の上気道感染の1~3週間後に紫斑や関節炎などの症状で発症しますが、必ずしも先行感染は必須ではありません。四肢の皮下出血(紫斑)が主症状で、その他限局性の浮腫・腹痛・嘔吐・関節痛・腎炎などが見られます。急性腎炎のような紫斑病性腎炎を併発すると症状は長期化します。

 

紫 斑

主に下肢(足など)に両側性に紫斑(出血斑)が出現します。炎症により毛細血管が破壊され出血することで紫斑が出現します。痒みを伴う皮疹から始まり、その後紫斑に変化して行きます。紫斑は通常赤紫色で、指で押しても色が消えないのが特徴です。

 

関節炎

手足の関節に痛みと腫れを伴う関節炎が生じることがあります。アレルギー性紫斑病患者の約60%に関節炎があります。一般的に両側性に発症し、痛みで歩行障害にもなります。肩・股関節・足趾の関節には発症しずらいので、これらの場合は血管性紫斑病の可能性は低くなります。

 

腹 痛

血管性紫斑病の約半数に腹部症状が認められます。繰り返す激しい腹痛・嘔吐・血便が認められることがあります。

 

腎 炎

腎炎は血管性紫斑病の約半数に見られます。紫斑が出現して数か月後に血尿や蛋白尿が出現します。通常出現まで3か月以内ですが1年後に出現する場合もあり、長期的な注意が必要です。アレルギー性紫斑病の腎炎は自然治癒例が多いですが、重症化し腎不全となるケースもあります。定期的に尿検査を行い経過観察する必要があります。

 

 

|溶連菌感染症と鑑別を必要とする疾患

 

溶連菌感染症と症状が類似し鑑別を必要とする疾患には次のようなものがあります。

 

伝染性紅斑(Erythema infectiosum)

 

リンゴ病とも呼ばれます。小学校高学年から思春期の女子に比較的多く見られます。両側の頬から両側上腕の伸側に赤い発疹が認めれます。

 

 症状の現れ方

 

 

発 熱

発疹の出る数日前に発熱や筋肉痛が出現することがあります。あまり高熱は出ず微熱程度のことが多いです。発熱しない場合もありますが流行した年によっては39℃台の高熱が出ることもあります。

 

皮 疹

感染から17〜18日後に顔や手足に発疹が出現します。頬を中心に発赤が現われ、リンゴのように見えます。顔の発疹から1〜2日後には肩や手足に皮疹が広がります。身体の皮疹は網目状のレース模様の様な紅斑が特徴的です。紅斑が広がると日焼けの様に均一に赤くなったり、赤い斑点の集まりのように見えることもあります。皮疹は痒みを伴い、通常数日で消失しますが、数週間後に再発を繰り返します(リンゴ病の特徴)。しばらくの間は日焼けや入浴などで刺激を与えると再び出現することがあります。

 

関節炎

成人の場合関節炎を伴うことがあります。関節痛は主に腰や膝に認められます。症状が進行すると肘や手首にも関節炎が生じることがあります。

 

 

川 崎 病 (Kawasaki Disease)

 

小児特有の全身性の炎症性疾患です。

 

 症状の現れ方

 

 

発 熱

通常は39℃以上の高熱が5日以上続き、上がったり下がったりします。

 

眼の充血・結膜炎

発熱から1〜2日後に、両眼に結膜炎が生じ、眼が充血します。

 

粘膜症状・イチゴ舌

発症から5日以内に、口や膣などの粘膜部分に皮疹が現れます。咽や唇が赤くなったり、乾燥してカサカサしたりします。また、溶連菌感染症と同様に、イチゴ舌も出現することがあります。

 

皮 疹

発症から3〜5日目に皮疹が出現し始めます。手掌や足底に赤い皮疹が出現したり皮が剥けたりします(落屑)。体幹部に出現する皮疹は、紅斑であったり、じんま疹様であったりと、バリエーションに富み、中には溶連菌感染症に似た皮疹が出現することもあります。

 

落 屑

手足の皮がむけます。

 

浮腫(むくみ)

手足がむくむこともあります。あまり重症でなく、押してもへこまない硬いむくみです。

 

リンパ節腫脹

川崎病患者の約半数にリンパ節の腫れが認められます。一般的に首のリンパ節によく見られ、押すと痛みがあります。

 

川崎病の合併症

最も重篤な合併症は冠動脈瘤です。冠動脈瘤とは、心臓の表面にある心臓を栄養する冠動脈ににコブができてしまう病気です。破裂したり血栓を形成することで小児の突然死の原因にもなります。川崎病に対し適切な治療を行わなければ約20%の症例に冠動脈瘤が発生します。冠動脈瘤の約半数は、1年以内に消失すると言われていますが、冠動脈瘤が残存した場合、重度の冠動脈瘤であった場合、定期的な検査が必要になります。

 

BCGの接種後の治りが悪い場合川崎病を疑います。接種後数ヶ月経過しても発赤が軽快しない場合医療機関を受診しましょう。

 

 

 

溶連菌感染症では多彩な皮膚症状を呈することから、咽の痛みなどの典型的な症状があまり目立たない場合は、下記の病気以外にも様々な病気と間違われやすいので注意が必要です。
1.リンゴ病
リンゴ病は正式名称は伝染性紅斑と言い、頬が赤くなりリンゴのように見えることからリンゴ病と呼ばれています。原因はヒトパルボウイルスB19というウイルスで、好発年齢は溶連菌感染症と同じく学童期の子供です。

 

【症状】
●発熱
リンゴ病では発熱しない場合もありますが、発疹の出る数日前に発熱や筋肉痛が出現することがあります。この病気ではあまり高い熱は出ず、微熱程度のことが多いですが、流行した年によっては39℃台の高熱が出ることもあります。

 

●皮疹
感染から17〜18日後に顔や手足に発疹が出現します。頬を中心に発赤が現われ、リンゴのように見えます。顔の発疹から1〜2日後には肩や手足に皮疹が広がります。身体の皮疹は網目状のレース模様の様な紅斑が特徴的です。しかし、紅斑が広がると日焼けの様に均一に赤くなったり、赤い斑点の集まりのように見えることもあります。この皮疹は痒みを伴い、通常数日で消えてしまいますが、しばらくの間は日焼けや入浴などで刺激を与えると再び出現することがあります。

 

●関節炎
大人がリンゴ病になると、関節炎を伴うことがあります。関節の痛みは、主に腰や膝に認められますが、症状が進行すると肘や手首にも関節炎が生じることがあります。

 

【治療】
リンゴ病に対する抗ウイルス薬はありません。特に何も治療をしなくても自然によくなりますが、痒みが強い場合は抗ヒスタミン薬を、関節痛が強い場合は痛み止めを使用したりします。

 

リンゴ病は感染してから7〜12日後にウイルスの排泄が起き、この時他人に感染します。実際に症状が出るのは感染してから17〜18日後なため、皮膚症状が出た頃にはすでに感染力は失われています。

 

リンゴ病は主な症状の発疹の他、発熱したり、関節が痛くなったりと、溶連菌感染症やその合併症と少し似ていますね。違いは、溶連菌感染症では咽頭炎が認められるという事です。しかし、咽頭の症状が弱くリンゴ病との違いがよくわからない時は病院を受診し、きちんと診断してもらいましょう。

 

リンゴ病(伝染性紅斑)の詳しい説明と写真|写真で見る「子どもの病気」 - 町医者の家庭の医学
2.川崎病
川崎病は、全身の血管、主に冠動脈に炎症が起きる病気で、生後1カ月〜8歳頃の子供に好発します。原因は未だはっきりしていませんが、元々遺伝的に川崎病になりやすい子供が何らかの感染を機に発症すると言われています。

 

【症状】
●発熱
通常は39℃以上の高熱が5日以上続き、上がったり下がったりします。

 

●眼の充血
発熱から1〜2日後に、両眼に結膜炎が生じ、眼が充血します。

 

●粘膜症状、イチゴ舌
発症から5日以内に、口や膣などの粘膜部分に皮疹が現れます。咽や唇が赤くなったり、乾燥してカサカサしたりします。また、溶連菌感染症と同様に、イチゴ舌も出現することがあります。

 

●皮膚症状
発症から3〜5日目に皮疹が出現し始めます。
手のひらや足の裏に赤い皮疹が出現したり、その後皮がむけたりします(落屑)。また、胸やお腹の体幹部に出現する皮疹は、紅斑であったり、蕁麻疹様であったりと、バリエーションに富み、中には溶連菌感染症に似た皮疹が出現することもあります。手足がむくむこともあり、程度はあまり強くなく、押してもへこまない硬いむくみであることが多いと言われています。

 

●リンパ節が腫れる
川崎病患者の約半数にリンパ節の腫れが認められます。一般的に首のリンパ節によく見られ、押すと痛みがあります。

 

【合併症】
●冠動脈瘤
川崎病で一番注意すべきなのはこの合併症です。適切な治療を行わなければ、約20%に冠動脈瘤が発生します。冠動脈瘤とは、心臓を栄養する血管にコブができてしまう病気のことで、破裂したり血栓を形成することで突然死の原因にもなります。冠動脈瘤の約半数は、一年以内に消えると言われていますが、冠動脈瘤が残存した場合や、重度の冠動脈瘤であった場合、定期的な検査が必要になります。

 

【治療】
発症から10日以内の治療が理想的と言われています。治療は免疫グロブリンとアスピリンによって行われます。通常は、治療を始めてから数日で症状は改善します。しかし、発症から8週間までは合併症のリスクがありますので、発症後の定期的な心エコー検査が完了するまでは、アスピリンによる治療を続ける必要があります。

 

溶連菌感染症と川崎病の違いは、川崎病では目や唇が赤くなるという事です。また、川崎病は通常5日以上発熱が続くので、なかなか熱が下がらない場合は川崎病の可能性が高くなります。

 

 

 

 

 

 

臨床症状
 潜伏期は2?5日であるが、潜伏期での感染性については不明である。突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌(写真1)がみられることがある。
 猩紅熱の場合、発熱開始後12 ?24 時間すると点状紅斑様、日焼け様の皮疹が出現する(写真2)。針頭大の皮疹により、 皮膚に紙ヤスリ様の手触りを与える(sandpaper rash )ことがある。特に腋窩、ソケイ部など皮膚のしわの部分に多く、これに沿って線が入っているようにみえる(Pastias sign )こともある。顔面では通常このような皮疹は見られず、額と頬が紅潮し、口の周りのみ蒼白にみえる(口囲蒼白)ことが特徴的である(写真2)。 また、舌の変化として、発症早期には白苔に覆われた舌(white strawberry tongue )がみられ、その後白苔が剥離して苺舌(red strawberry tongue )となる。1週目の終わり頃から顔面より皮膚の膜様落屑が始まり、3週目までに全身に広がる。
 合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもある。

 

咽頭痛、発熱、発疹が主症状です。

 

◆ よく見られる症状

 

 2〜3才から、小学生くらいまでが好発年令です。(赤ちゃんが感染することは少ないです。)季節は、冬(12月〜3月)に多く、夏(7月〜9月)に少ない傾向があります。発熱、のどの痛みが特徴的ですが、咳や、鼻水などの風邪症状はあまり見られません。潜伏期間は2〜3日です。

 

@.咽頭炎、扁桃腺炎:発熱、のどの痛みが見られます。のどは真っ赤に腫れ上がり、見るからに痛そうな感じがします。(発病1〜2日)

 

A.イチゴ舌:イチゴのようなブツブツの舌になります。(発病2〜4日)

 

B.全身発疹:顔〜全身にボツボツとしたかゆみを伴う赤い発疹が多数見られます。(発病1〜2日)

 

C.皮膚落屑:上記の症状が消えた後に、手や足の指先から皮膚がむけることがありますが、自然に治ります。

 

 これらの症状が全て出現するわけではなく、特に1〜3才くらいでは、症状がはっきりしないこともよくあります

 

 

溶連菌感染症合併症

 

@.中耳炎、気管支炎、リンパ節炎。

 

A.急性腎炎:溶連菌感染後2〜4週間後に発症することがあります。突然、むくみ、尿の出が悪くなり、尿に血や蛋白が混じってきます(血尿、蛋白尿)。血圧が上がったりして、入院が必要になります。安静、食事制限で治癒しますが、稀に慢性化することもあります。急性腎炎を見逃さないように、初診時と2〜4週後の2回尿の検査をします。

 

B.リウマチ熱:昔は溶連菌が原因のリウマチ熱がよくみられましたが、最近は殆ど見られません。特に心臓に溶連菌が感染しますと重症になり、治癒しても心臓弁膜症を予防するために、長期に薬を内服することになります。

 

 

 

溶連菌は、上記以外にも様々な病気の原因になります。咽頭炎や猩紅熱の他、伝染性膿痂疹、丹毒、リンパ管炎、蜂窩織炎、筋膜炎、肺炎、心内膜炎、中耳炎などの病気に関与しています。

 

 

しかし、3歳未満ではあまり熱があがらないと言われています。

 

 

溶連菌感染症の続発症(合併症)について
5~10日間お薬を飲み続けるのは、こどもにはとってもむずかしいことです。しかし、決められた期間はしっかり抗生物質を飲んでおかないと、ときに、心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や、急性糸球体腎炎といった続発症(合併症)につながることもあります。

 

以前は命に係わる危険な伝染病として恐れられていましたが、抗生剤が普及した昨今では、きちんと治療をすれば治る病気となりました。

溶連菌感染症の検査と診断

溶連菌感染症はまず臨床症状より判断します。溶連菌感染者の咽頭・舌・発疹はかなり特徴的です。患者様の年齢・発熱形態・咽頭の状態・体や手足の発疹の程度から溶連菌に感染している疑いがあれば確定診断のために検査を行います。担当医が溶連菌感染症の疑いを持つためにはある程度の経験が必要とされます。溶連菌感染症の検査には次のようなものがあります。基本的には、大掛かりな検査は行われず、採血や咽の粘膜をこする程度の軽い検査で診断がつきます。

 

迅速診断・咽頭培養検査・血清学的検査

 

迅速診断

綿棒で咽頭ぬぐい液を採取し溶連菌迅速診断キットを用いて診断します。

 

 検査の原理

 

咽頭ぬぐい液酵素抗体法といいます。溶連菌表面にあるA 群多糖体抗原に対しての抗原抗体反応を利用した検査方法です。

 

 

 判定方法

 

咽頭ぬぐい液と薬品を混合し、キットに滴下します。それが付属のフィルターに浸透して行く過程で、<コントロールライン> と <陽性のライン> の2つのラインが出現すれば溶連菌陽性となります。その他の感染症(インフルエンザ・アデノウイルス・RSウイルスなど)も同じ原理で判定します。

 

迅速検査のメリット

  • 短時間で診断可能(所要時間5〜10分)
  • 検査精度80%以上

迅速検査のディメリット

  • 咽頭培養検査(菌体の分離)より精度が劣る
  • 偽陽性が多い
  • 検査結果が抗原量(菌量)に依存
  • 咽頭ぬぐい液の採取方法に影響される
  • 検査前の抗生物質服用で正確に診断できない

 

 

院長のひとりごと
毎年多くの溶連菌迅速検査を行ってきました。迅速検査の所見は溶連菌菌量と重症度と比例します。つまり陽性ラインがかなり強く明確に出現します。逆に菌量が少ない場合、軽症の場合検査所見が出現するのにかなり時間がかかるケースも多くあります。検査施行後24時間経過してから細く薄い陽性ラインが微妙に所見が認められた症例もあります。これも溶連菌感染症と判断し治療の対症となります。つまり見逃し・見落としの可能性は常にあることに注意しなくてはいけません。


 

咽頭培養検査

綿棒による咽頭ゆぐい液を血液寒天培地で培養することにより、菌体を分離し溶連菌が発育することを確認できます。これにより溶連菌感染もしくは溶連菌保菌を診断できます。

 

咽頭培養検査のメリット

  • 迅速検査より精度が高い

 

咽頭培養検査のディメリット

  • 診断までに数日を要す
  • 検査前の抗生物質服用で診断に影響する

 

咽頭扁桃炎・伝染性膿痂疹・化膿性関節炎・化膿性リンパ節炎などで膿が採取できる場合には膿の培養を、敗血症を伴う感染(侵襲性感染症)では血液培養を行い確定診断をつけます。

 

血清学的検査

 血液検査で特定の抗体の上昇を確認する検査もあります。溶連菌の菌体上にある抗原に対する特異抗体で、血清学的には抗ストレプトリジン(streptolysin‐O) 抗体(ASO ・ASLO)・抗ストレプトキナーゼ(streptokinase) 抗体(ASK)などの抗体上昇を確認します。

 

  • 抗ストレプトリシン抗体価(ASO ・ASLO)
  • 抗ストレプトキナーゼ抗体価(ASK)

 

 血清学的検査のメリット

 

血清学的検査は次のようなケースに有用です。

 

  • リンパ節炎があるが化膿していない場合
  • 直接検体を採取できない場合(蜂窩織炎など)
  • 急性感染症以外の合併症発現時に溶連菌感染症の診断をつけたい場合

    (急性糸球体腎炎・アナフィラクトイド紫斑病など)

  • 溶連菌感染症軽快後に治癒レベルを確認したい場合

 

 

豆ちしき
掌蹠膿疱症は細菌アレルギーが関与して生じているという報告があり抗ストレプトリジンO(ASO)の上昇が見られることがあります。


 

上記の検査により溶連菌感染症が完治したかどうかわかります。発症時の症状が治った、抗生物質を飲み終えた後も自己判断はせず、必ず発症2〜3週間後にも医師の診察を受けましょう。

 

 

 

 

念のための尿検査

 

発病2週と3?4週後頃に尿検査をして、尿に異常がないことを確認しましょう。この検査で異常がなければ、恐らく大丈夫でしょう。

溶連菌感染症の治療

溶連菌感染症の治療法には基本的に 薬物治療 ・ 食事療法 を行います。

 

|溶連菌感染症の薬物治療

 

溶連菌感染症の主な治療は抗生剤による薬物治療です。

 

 溶連菌感染症治療の抗生剤の選択

 

溶連菌感染症の治療には通常ペニシリン系の抗生剤を使用します。事前にペニシリンアレルギーの有無を確認します。抗生剤の選択は次のような優先順位で決定します。最近通常の抗生剤が効きにくい耐性菌も出現していますので2〜3日たっても症状が改善しない場合は抗生剤の種類を変更します。

 

第1選択  ペニシリン系薬剤(パセトシンなど)
第2選択  エリスロマイシン ・ 第1世代のセフェム系(ペニシリンアレルギーありの場合)
第3選択  クリンダマイシン・アモキシシリン/クラブラン酸・第2世代以降のセフェム剤(効果不十分の場合)

 

 溶連菌感染症治療の抗生剤服用期間

 

 

溶連菌感染の場合は10〜14日間は抗生物質を飲むことが勧められています。

 

抗生剤を服用すると数日で症状は改善しますが、溶連菌感染症には様々な合併症があります。急性腎炎・リウマチ熱・アレルギー性紫斑病などの合併症予防のため症状が治まっても、どの抗生剤でも最低10日間は確実に投与することが推奨されています。ペニシリン系抗生剤以外の場合内服期間は抗生剤の種類で若干異なります。小児患者様の自己管理では飲み忘れなどの可能性もありますので、保護者の方がきちんと服薬管理をしましょう。

 

抗生物質は溶連菌を退治するまで飲む
お薬を飲み始めると、2?3日で熱が下がり、のどの痛みもやわらいできます。発疹が出た場合、急性期を過ぎて、手足の指先から始まる落屑(皮むけ)が認められるようになります。確実に溶連菌を退治し、重大な続発症(合併症)を引き起こさないために、症状が消えても抗生物質はしばらく飲み続けなくてはいけません。一部の抗生物質以外は5~10日間飲み続ける必要があると言われています。

 

薬を飲み始めると数日で熱は下がり、咽の痛みも改善します。皮膚症状が出ていた場合は、急性期の皮膚症状は改善し、落屑が認められるようになります。

 

|溶連菌感染症の食事療法
溶連菌感染症では急性咽頭炎・扁桃炎によりかなり咽頭痛がひどくなります。そのため摂食障害となり脱水・低栄養状態になる可能性があります。食事療法に関しては次のような点に留意します。

 

  • こまめに水分をとる
  • 十分な水分補給
  • 咽頭痛を考慮した食事内容(ゼリー・お粥など)
  • 刺激物・熱い食物は避ける
 

 

|溶連菌感染症の合併症の治療

 

溶連菌感染症の治療の基本はペニシリン系抗生剤の投与ですが、溶連菌感染症から発現する合併症に関してはその疾患に合わせた治療を行います。

 

 1. 溶連菌感染後急性糸球体腎炎

 

 

食事制限や点滴治療のため、通常は入院して治療を行います。適切な治療で症状は良くなる場合が多いですが、腎臓の病変自体は半年ほど持続することがあるので、急性糸球体腎炎を発症した場合は半年程度の通院が必要になります。

 

  • 塩分制限
  • 水分制限
  • 血圧管理(降圧薬・利尿薬)

 

 2.リウマチ熱

 

 

リウマチ熱は溶連菌感染症から1〜4週間後に関節痛や発熱などの症状が出現します。学童期の子供に好発します。現在は抗生剤の適切な使用により発症数は激減しています。次のような治療法があります。

 

  • 安 静
  • 抗生剤の長期間投与
  • 消炎鎮痛剤・痛み止め(関節炎などの痛みに対して)
  • ステロイド剤(重症例に対して)

 

一度リウマチ熱を発症した人は再発しやすく再発するたびに弁膜症のリスクは上がって行きます。溶連菌の再感染防止のためリウマチ熱発症から少なくとも5年間は抗生剤による二次予防が行われます。発症から3年間は注意が必要です。

 

 

豆ちしき
一般的に言われる<リウマチ>とは慢性関節リウマチのことです。小児におこりやすいリウマチ熱とは別の病気です。


 

 3. アレルギー性紫斑病・紫斑病性腎炎

 

 

アレルギー性紫斑病に特効薬はありません。ほとんどの場合数週間で改善します。治療法として次のような方法があります。

 

  • 安 静
  • 消炎鎮痛剤・痛み止め(関節炎などの痛みに対して)
  • ステロイド剤(重症例に対して)
  • 免疫抑制剤(重症例に対して)

 

|溶連菌感染症の家庭での扱い

 

 溶連菌の家族内感染

 

 

家族内に一人溶連菌感染症が出た場合、家族内に拡大する可能性があります。次のような注意点があります。

 

  • 家族内感染確率  兄弟(約50%)・親(約20%)
  • 溶連菌感染者は極力隔離する
  • 乳幼児への感染を避ける

 

少しでも感染の可能性がある場合、溶連菌の潜伏期を考慮した上で医療機関を受診しましょう。発熱・咽頭痛などの症状があるときは、検査します。溶連菌が同定できれば治療します。

 

溶連菌感染したに大人の患者様への治療法は、小児の患者様と同様です。ペニシリン系抗生剤を10−14日間服用します。

 

 溶連菌感染者の家庭での看護

 

 

溶連菌感染症は小児に多い病気です。小児の患者様は安静をしっかりとることが大切です。それに加え次のような点に注意します。

 

水分・栄養補給

水分はまめに補給し十分に摂取し脱水に気をつけましょう。食事内容は咽頭痛に留意します。刺激物を避け、好きなもので消化の良いものを食べさせましょう。

 

体 温 調 節

寒すぎず暑すぎないような保温調節を行い、定期的に体温を計測し管理します。

 

入 浴
 

入浴は高熱が続く間は控えましょう。発汗した場合、お湯をしぼったタオルの後に乾いたタオルでふいて、サッパリと着替えさせましょう。解熱後37.4度以下が24時間以上続いたら、汗を流す程度から入浴を始めてみましょう。解熱している時は長湯でなければ、お風呂(シャワー)に入ってもOK大です。

 

発 疹

発疹が出現いる間は、温めるとかゆみが強くなります。微妙な体温調節が必要です。

 

掻 痒 感

溶連菌感染症では掻痒感を伴った発疹が出現します。小児の患者様では爪を短めに切って肌を掻きすぎて傷をつけないようにします。低月齢の赤ちゃんが寝ている間にかきこわしてしまうようなら、ミトンをはめて防止しましょう。

溶連菌感染症の予防

溶連菌に対しての予防接種(ワクチン)はありません。溶連菌は飛沫感染(咳・くしゃみなど)のため、うがい・手洗い・マスクの使用など一般的な染予防を行います。また次のような点に注意します。

 

感染者と接触しない

溶連菌感染の予防で一番重要なのは溶連菌感染者に接触しないという事です。溶連菌感染症になったときは、他の人に移さないためにも、2〜3日は外出を控え、会社や学校は休むようにしましょう。接触者に対する対応としては、集団発生などの特殊な状況では接触者の迅速検査・咽頭培養を行い検査陽性であれば治療を行います。

 

 家族への対応

 

家族の誰かが溶連菌に感染した時には次のような点に注意します。

 

  • 感染した家族を隔離
  • 感染した家族と同じ食器・同じタオルなど使用しない
  • 他の家族に症状が出た時には速やかに溶連菌の検査を行う(早期予防・治療)
  • リウマチ熱患者や急性糸球体腎炎の患者と接触した家族   除菌のための抗菌薬投与
  • 家族内に繰り返し溶連菌感染症の患者が発生した場合   無症状でも家族全員を同時に治療

 

抗生剤の予防的投与
溶連菌感染患者と接触した者に、症状発現前に抗生剤を投与して感染症の発症を予防することを予防的投与といいます。理論上は可能ですが無症状の保菌者も少なからずいることことから、通常行われません。

 

抗生剤による二次予防

A群溶血性連鎖球菌には、日本では4〜5種類のタイプがあるといわれています。つまり溶連菌に4〜5回は感染する可能性があり、一度溶連菌に感染しても再感染する可能性があります。リウマチ熱などの合併症を発症してしまった場合、弁膜症を防ぐため、抗生剤を飲み続けることで再感染を予防する必要があります。

 

特に何も合併症がない場合は10日間の抗生剤投与で抗生剤による治療は終了し、二次予防の必要はありません。

 

|感染症法における取り扱い

 

感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)ではA群溶血性連鎖球菌咽頭炎は5類感染症定点把握疾患に定められています。全国約3,000カ所 の指定届出機関 ・ 小児科定点医療機関から毎週保健所にその流行状況を報告する義務があります。

 

A群溶血性連鎖球菌咽頭炎の報告のための診断基準

 

1.診察医の判断で症状や所見から当該疾患が疑われ<かつ>以下の3つの基準をすべてを満たすもの

 

  • 発 熱
  • 咽頭痛・咽頭発赤および頚部リンパ節炎(発疹を伴うこともある)
  • いちご舌

 

2.上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの

 

|学校保健法での取り扱い

 

溶連菌感染症は、学校保健安全法では第3種(条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患)に位置づけられており、医療機関の受診日とその翌日は登校・登園できません。有効な抗生物質を内服後24時間経つと、感染力はほとんどなくなります。抗生物質1〜2日内服後、発熱や発疹が治まり全身状態が良好となれば登校・登園が可能となります。つまり学校での流行阻止の目的というよりも患者様本人の状態によって登校・登園可能と判断すべきであると考えられます。症状がある間は学校を欠席することが望ましいと言われています。特に発疹が出ている場合などは消えるまで安静にしていましょう。

 

学校保健安全法における取り扱い(2012年3月更新)では、溶連菌感染症は学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定はされていません。

 

<学校で流行がおこった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、学校長が学校医の意見を聞き、第3種学校伝染病としての措置を講じることができる疾患>のなかで
<条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる伝染病>
<病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止の措置が必要>

 

と位置づけられています。

 

 

豆ちしき
感染症法・学校保健法から猩紅熱(しょうこうねつ)の病名は現在削除されています。理由は猩紅熱がA群溶血性レンサ球菌感染症の一病型に過ぎず、医学的・疫学的にも猩紅熱という病名を特別に扱う必要がないからです。


 

 学校・保育園・幼稚園で気をつけること

 

 

  • 子どもに多い感染症ですが、大人が感染することもあります(職員も注意)
  • 発熱と同時に発疹が出ることもあります。この時は他のお子さんとは別室で保育をお願いしましょう
  • アトピー性皮膚炎の方は溶連菌感染症になると重症化することがあります。流行期には事前に連絡しましょう

溶連菌感染症の疫学

溶連菌感染症には疫学的に次のような特徴があります。

 

  • 学童期の小児に最多
  • どの年齢でも発症しうる
  • 3歳以下・成人では典型的症状は少ない
  • 冬季・春〜初夏に流行(症例は通年であり)
  • 飛沫感染により家庭・学校などの集団感染が多い
  • 感染性は急性期に最強・その後徐々に減弱
  • 急性期の感染確率  兄弟間50% ・ 親子間25%
  • 健常者の保菌率  15〜30%

A群溶血性レンサ球菌感染症は温帯地域では普遍的な疾患であり、亜熱帯地域でもみられるが、熱帯地域ではまれな疾患です

 

 

 

 

 

 

 

溶連菌感染症は何科?
溶連菌感染症は子供に多い病気ですので、通常は小児科で診ます。大人が感染した場合は一般内科を受診しましょう。また、急性腎炎などの合併症が出た場合は、腎臓内科も関わってきます。

 

溶連菌感染症は、皮膚症状が出なければ普通ののど風邪と勘違いされやすく、それ故病院を受診せず、きちんと治療をされないことがあります。しかし、この病気の怖いところはその合併症です。放っておくと腎臓がダメになったり、心臓の病気になったりする危険な「風邪」です。少しでも怪しいと思ったらすぐに病院を受診しましょう。適切な治療を受けることで、将来の合併症を防ぐことができます。

 

 

溶連菌の感染経路はと予防法は?
溶連菌は、咳やくしゃみなどの飛沫感染によってうつります。
潜伏期間は2〜5日。
インフルエンザほど感染しやすい菌ではないのですが、家族間での感染はしやすいそうです。

 

 

治療の第一選択はペニシリン系抗菌薬の投与であり、通常は内服治療が可能。咽頭痛などのために内服が困難な場合、抗菌薬の筋注または静注を行う。ペニシリンアレルギーのある患者にのみ、マクロライド系の適応がある。

 

溶連菌は別の大きな病気(合併症)の原因になりやすい細菌です。溶連菌を完全に退治するまで、10日間〜2週間ほど抗生物質を飲み続ける必要があります。
完治したかどうかは、発症時の症状が改善した2〜3週間後に検査してわかります。症状がおさまったからといって油断は大敵です!自己判断ではなく、きちんと医師の診察を受けましょう。

 

治療の方法
 抗生剤を内服しますが、A群溶連菌を排除するために、一般的にはペニシリン系の抗生剤を10日間内服する治療が行われており、決められた期間、抗生剤の内服を続けなければなりません。
 合併症として、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)(コラム)やリウマチ熱があります。治療を行わなかった場合、これらの合併症は感染者の2〜3%に起こりますが、適切な治療により合併症を防ぐことができます。溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、治療を行わなかった場合の100分の1(0.02%)にまで減ります。

 

医師の診察を受け、処方される抗生物質をきちんと飲むことで、大半の場合、熱は3?5日以内に下がりますが、解熱後約1週間経ってから手足の皮膚がふやけたようにむけてくることがあります。また、アトピー性皮膚炎のお子さんは病変部に溶連菌が入り込むことで重症化することがありますので、注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

溶連菌には抗生物質がよく効くので、飲み始めて2日ほどで症状は治まってきます。
ですが、そこで抗生物質の服用をやめてしまわず、1週間から10日ほど続けて飲んで、菌を殺しておくことが必要です。
それによって、腎炎などの次の病気に繋がらないようにしていきます。

 

独自の判断をせず、医師の指示にしたがって服用しましょう。

 

また、抗生物質の副作用で、下痢になることがあります。
抗生物質は菌を殺すものですが、腸内細菌にも影響を及ぼしてしまうことがあるからです。
「溶連菌感染症と診断されて抗生物質を飲んでいるけど、下痢が治らない」という場合は、抗生物質の副作用かもしれませんので、様子をみながら抗生物質を飲み、あまりにひどいようなら医師に相談しましょう。

 

 

治療は菌に有効な抗生物質の服用です。これで熱は1〜2日で下がり、発疹も軽快、のどの痛みも1週間以内でおさまります。その後、指先の皮膚が新じゃがいもの皮のようにべロベロとむけてきますが、これもほとんどは3週間程度でおさまります。しかし、これらは幼児から学童期の子どもに典型的な経過です。

 

3才以下の子どもが溶連菌に感染した場合、熱や発疹は出なくて、単なるのどかぜ症状になることも少なくありません。ウイルスによる咽頭炎や扁桃炎とも見分けにくいものです。ただ、ウイルス性のかぜと違って細菌性の病気なので、自然に治ることはありません。2日以上のどがはれて痛むときや高熱や発疹が出たときは、必ず小児科を受診するようにしてください。咽頭から溶連菌が検出されたり、血液検査で溶連菌感染症と判明したら、きちんと治療を受ける必要があります。

 

細菌による感染なので、治療には抗生物質が有効です。薬を飲めば症状は2〜3日でよくなっていきますが、溶連菌感染症の場合、処方された抗生物質の量や回数を守って服用することが大切です。発熱や発疹がおさまっても、それで細菌が完全に体から消えたわけではありません。処方された抗生物質を最後まできちんと指示どおりに飲むことが大切です。症状が消えたからといって、自己判断で薬の飲み方を変えたり、薬をやめたりしないようにしてください。

 

また、細菌がいなくなっても、急性腎炎や、高熱と関節の痛みといった症状が出るリウマチ熱、アレルギー性紫斑病などの合併症を起こしてくることもあり、そうなると治療が大変長引きます。それを防ぐためにも、医師の許可が出るまで抗生物質を10日〜2週間ほど飲み続ける必要があります。治ってから血尿が出ていないかを調べるために、一度検尿をしたほうがいいでしょう。

 

ホームケアの基本は、水分補給とのどごしのよい離乳食です。脱水症状を防ぐために、こまめに水分を与えます。のどの痛みが強い時期は、離乳食のメニューに工夫が必要。食事はのどに刺激を与えない、消化のいいものを用意してあげましょう。体力を消耗しないようにすれば、おふろに入れてもかまいません。

 

治療・予防

 

 治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬であるが、アレルギーがある場合にはエリスロマイシンが適応となり、また第1世代のセフェムも使用可能である。いずれの薬剤もリウマチ熱、急性糸球体腎炎など非化膿性の合併症予防のために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要である。除菌が思わしくない例では、クリンダマイシン、アモキシシリン/クラブラン酸、あるいは第2世代以降のセフェム剤も使用される。

 

 

溶連菌の感染とわかれば、熱やのどの痛みといった症状をやわらげるお薬のほかに、抗生物質が出されます。抗生物質は病気の原因になっている溶連菌を退治する大変重要なお薬です。

 

発症時の症状が改善しても要注意!完治の判断は2~3週間後
「有効な抗生物質を飲むと比較的早く感染力もなくなるし、熱やのどの症状も改善するから、大丈夫だわ」と思った方、油断は大敵です!冒頭でもご紹介しましたが、「溶連菌」はきちんと完治しないと、重大な合併症を引き起こす細菌です。

 

熱が下がっても溶連菌が残っていれば再発の恐れがあります。溶連菌を完全に退治するため、抗生物質は処方どおりに最後まで(10日〜2週間の間)飲ませることが重要です。症状が改善した後も、2?3週間後に尿のなかに血液が混じっていないかを検査します。

 

 

 

昔は、猩紅熱と呼ばれ重症なタイプも見られましたが、現在は適切な抗生剤を内服することで、殆ど問題なく治癒します。溶連菌による主な病気は、<咽頭炎や扁桃腺炎>と<とびひ>です。

 

猩紅熱と呼ばれるほど症状が激しくなくても、手足や顔に部分的に皮疹がでることもあります。
手足の症状としては、指の先にゴワゴワとしたしわができたり、皮膚が白くむけたりします。このように皮膚がむけることを落屑(らくせつ)と言い、感染の急性期を過ぎると起きることがあります。その他にも、手指が赤く変色したり、皮膚がむけたことでつるつるになったり、点状紅斑が出現したりします。他の病気でも点状紅斑を生じることがありますが、溶連菌感染症による点状紅斑はザラザラとしたヤスリの様な手触りが特徴で、これが認められた場合は溶連菌感染症の可能性が高くなります。

 

顔の皮膚症状としては、皮膚がカサカサしたり、頬や額が赤くなったり、ニキビのような皮疹ができたりします。胸やお腹でも顔同様の症状が出ることがあります。これらの症状は発症から1週間ほどで改善に向かいます。

 

 

溶連菌感染症とは
溶連菌という細菌がのどや皮膚に感染する病気です。
好発時期:1年中ありますが、のどは12〜3月に、皮膚は7〜9月に多い傾向があります。
潜伏期間:おおよそ2〜3日です。
保育所・学校(出席停止期間):高熱の期間は他人への感染力がありますが、抗生剤を24時間以上内服すれば、他人への感染力はなくなります(ただし合併症を予防するために、10〜14日間は内服しなければなりません)。

 

 

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
 A群溶血性レンサ球菌は、上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多彩な臨床症状を引き起こす。日常よくみられる疾患として、急性咽頭炎の他、膿痂疹、蜂巣織炎、あるいは特殊な病型として猩紅熱がある。これら以外にも中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎などを起こす。また、菌の直接の作用でなく、免疫学的機序を介して、リウマチ熱や急性糸球体腎炎を起こすことが知られている。さらに、発症機序、病態生理は不明であるが、軟部組織壊死を伴い、敗血症性ショックを来たす劇症型溶血性レンサ球菌感染症(レンサ球菌性毒素性ショック症候群)は重篤な病態として問題である。ここでは、感染症法下における感染症発生動向調査で、4類感染症定点把握疾患となっているA群溶血性レンサ球菌咽頭炎について述べる。

 

 

 

病原体
 レンサ球菌はグラム陽性球菌で、細胞壁の多糖体の抗原性によりLancefield A〜V 群(I, J は除く)分類されている。本疾患の原因菌はこのうちのA群に属し、ヒツジ赤血球加血液寒天培地上でβ溶血(完全溶血)をおこすので、A群β溶血性レンサ球菌(溶連菌)と呼ばれる(α溶血は不完全溶血、γ溶血は非溶血を指す)。菌種名としては化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes )が使用される。A群溶血性レンサ球菌のほとんどは細胞表層に蛋白抗原としてM 蛋白とT 蛋白を有しており、これらの抗原性により、さらに型別分類される。M蛋白には100以上の型が、T蛋白には約5 0 の型が知られている。また、この菌は溶血毒素、発熱毒素(発赤毒素)、核酸分解酵素、ストレプトキナーゼなど、種々の活性蛋白物質を産生して細胞外に分泌し、種々の症状を起こすと考えられている。

 

臨床症状

 

 潜伏期は2〜5日であるが、潜伏期での感染性については不明である。突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。咽頭壁は浮腫状で扁桃は浸出を伴い、軟口蓋の小点状出血あるいは苺舌(写真1)がみられることがある。
 猩紅熱の場合、発熱開始後12 〜24 時間すると点状紅斑様、日焼け様の皮疹が出現する(写真2)。針頭大の皮疹により、皮膚に紙ヤスリ様の手触りを与える(sandpaper rash )ことがある。特に腋窩、ソケイ部など皮膚のしわの部分に多く、これに沿って線が入っているようにみえる(Pastias sign )こともある。顔面では通常このような皮疹は見られず、額と頬が紅潮し、口の周りのみ蒼白にみえる(口囲蒼白)ことが特徴的である(写真2)。また、舌の変化として、発症早期には白苔に覆われた舌(white strawberry tongue )がみられ、その後白苔が剥離して苺舌(red strawberry tongue )となる。1週目の終わり頃から顔面より皮膚の膜様落屑が始まり、3週目までに全身に広がる。

 

 合併症として、肺炎、髄膜炎、敗血症などの化膿性疾患、あるいはリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの非化膿性疾患を生ずることもある。

 

 

 

 

溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)
溶連菌がのどに感染して起こる病気の総称。
高熱とのどの痛みで始まり、赤い発疹が全身に広がります。
初期症状はかぜに似ていますが、抗生物質での治療が必要。
処方された薬は指示どおりにきちんと飲みきることが大切です。
離乳食は無理じいせず、のどごしのよいものを用意して。
どんな病気?

 

溶連菌感染症というのは、A群β溶血性連鎖球菌(略して溶連菌)という細菌の感染によって起こる病気の総称です。溶連菌という名前はあまり聞き慣れないと思いますが、菌そのものはよくいるありふれた細菌のひとつ。一般的に赤ちゃんが感染することは比較的少なく、感染したり発症したりするのは幼児や学童が中心です。

 

のどの痛みから始まり特徴はいちご舌
初めは咽頭炎や扁桃炎などいわゆる「のどかぜ」症状を示します。最初は39度前後の急な発熱で始まります。のどを見ると、いわゆるのどちんこや扁桃部分が赤くはれ、のどの入り口も赤く炎症を起こしています。痛みも強く、吐きけや嘔吐、頭痛、腹痛、ときには筋肉痛や関節痛が出ることも。のどの炎症に関連して、首のリンパ節がはれたり、中耳炎などを起こすこともあります。
その後、赤いこまかい発疹が首や胸のあたり、手首や足首のあたりから始まり、ときに全身に広がります。発疹の出方や程度はさまざまで、発疹はかゆみを伴います。
発病直後は舌が白いコケにおおわれたようになりますが、3〜4日するといちごのように赤くなってプツプツになります。これは「いちご状舌」と呼ばれ、やはり溶連菌感染症に特徴的な症状です。同時に口角も荒れます。
昔はとてもこわい病気でしたが
また、溶連菌の中でも特殊な毒素を出すタイプに感染すると、高熱とともに全身の皮膚に赤い発疹が強く出ます。これがいわゆる「ショウコウ熱」。昔はたいへん恐れられたこの病気は、死亡率の高さから法定伝染病に指定され、かかると隔離されなくてはならなかったのですが、現在では抗生物質で治療すれば自宅でも十分にケアできるようになりました。そのため、ショウコウ熱という病名は使わず、一般の溶連菌感染症の一つとして扱われています。
ケアは?

 

 

 

 

溶連菌感染症の症状は多彩ですが、大きく分けると

 

1.咽頭や舌の口の中の変化、
2.手足やからだ、顔の小さな赤い斑点状の湿疹
の2種類に分けることができます。
外来に受診されるきっかけとしては、高熱が出たために受診される場合と、発熱はなく手足やからだの皮膚の変化に気がついて受診される場合があります。
写真で見る子どもの病気では、皮膚の変化について
1.口の中の変化(咽頭発赤とイチゴ舌)、
2.顔の皮膚変化、
3.手や腕の皮膚変化、
4.足の皮膚変化、
5.からだの皮膚変化
の5つに分けて少し詳しく写真とともに説明を加えます。

 

溶連菌感染症の口の中の変化
溶連菌感染症では、扁桃肥大と発赤、白い膿の付着が特徴的とされますが、このような変化はさまざまの他の病原体(おもにウィルス)でも起こってくるため、溶連菌感染症に特徴的ではありません。
むしろ、咽頭や口蓋垂(いわゆるのどちんこ)周辺の点状の紅斑(赤い斑点状の変化)や小出血斑が特徴的に現れると、溶連菌感染症が強く疑われます。
このようなケースでは高熱を伴うことが多いのですが、熱はなく咽頭痛だけを強く訴える場合もあります(写真1、2,3)。
舌がイチゴのように赤くぶつぶつとみえることがあります。
イチゴ舌として有名ですが、半数近くにはイチゴ舌が認められないことがあります(写真4、5,6)。

 

 

 

溶連菌感染症 大人の症状は?
溶連菌感染症で多くみられる特徴的な症状は、のどの痛みと発熱、舌に赤いブツブツができるといったものになります。

 

症状がひどいときは、扁桃腺の辺りにも白いブツブツができて、唾を飲みこむのも痛くなり、38度以上の高熱がでたりします。
このときに、体に発疹がでることもあります。

 

その他にも、頭痛や下痢、嘔吐などの、風邪と同じような症状がでることもあるようです。

 

溶連菌は、めずらしいものではありませんし、免疫力が高い健康な大人の場合、発症しないまま保菌している人も多いとのこと。
風邪とよく似た症状のため、悪化しなければ、溶連菌感染症と気づかないまま、症状が治まっていくこともあります。

 

ただ、風邪ではなく溶連菌感染症だった場合、抗生物質を使って治療をしないと、菌がなくなることはありません。
希ですが、症状が長引いたときには、腎炎やリウマチ熱などの別の病気に繋がることがあります。

 

周りに溶連菌感染症になった人がいるなど、気になるときには、病院で検査をうけるようにしましょう。
Sponsored Links

 

溶連菌感染症の大人の症状は、人によって様々です。
ほとんど症状がなく、子供が感染したから念のために検査をしたら感染していたという場合もあれば、一晩で一気に高熱がでて、つばも飲み込めないほど喉が痛くなったという場合もあります。

 

冬場と5〜7月頃に発症することが多くなっていますので、のどの痛みや発疹、発熱など気になる症状があって、風邪薬を飲んで2日以上たっても症状が改善されないときは、病院で検査を受けることをおすすめします。

 

お子さんが「のどが痛い」という時、その大部分はウイルスや細菌に感染して“のど”に炎症を起こしている状態です。その多くはウイルスによりますが、細菌では怖い続発症(合併症)を引き起こす溶連菌が重要で、この細菌による感染症(溶連菌感染症)はこどもに多い疾患です。

 

溶連菌感染症の再発と家族への感染

 

溶連菌感染症は、繰り返しかかることもあります。大人になってもかかります。溶連菌感染症の症状としては咳や鼻水がありませんが、日常生活の中で出る咳やくしゃみなどによって近くの人に感染(飛沫感染)することがあります。また、溶連菌に汚染された食品が原因のこともあります。一人がかかったら家族、特に一緒に遊んでいる兄弟への感染に注意し、できれば一緒に検査を受けておくとよいでしょう。
家庭の中で気をつけること
食事
「熱い」、「辛い」、「すっぱい」といった“のど”に刺激の強いものは避けてください。なるべくのどごしがよく、消化のよい食べ物にしてあげてください。食べるのがつらいようでしたら水分だけでもしっかり摂るよう心がけてください。その場合も炭酸水といった“のど”に刺激を与える飲料水は避けてください。
入浴
熱が下がれば、お風呂に入っても特に問題はありません。
のどが痛い時や食欲がない時の飲み物・食べ物

 

症状が改善しなくて困った時
お薬(抗生物質)を飲み始めて2?3日たっても熱が下がらず、“のど”の痛みも消えないようでしたら、再受診してください。お薬が効いていないこともありますし、水分が不足がちになっている可能性もありますから、放っておくわけにはいきません。

 

 

 

 

田島クリニック

〒231-0023 横浜市中区山下町118-1 エトワール山下1F
TEL 045(264)8332
www.tajimaclinic.yokohama


1F Etoile Yamashita, 118-1 Yamashita -Cho, Naka-ku, Yokohama, 231-0023

English Available ! !

関連ページ

高血圧
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
脂質異常症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
糖尿病
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
高尿酸血症・痛風
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
肝機能障害
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
腎機能障害
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
不整脈
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
逆流性食道炎
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
胃炎とヘリコバクターピロリ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
機能性ディスペプシア
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
がん・悪性腫瘍
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
気管支喘息
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
アレルギー
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
花粉症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
甲状腺疾患・ホルモンの病気
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
貧血
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児感染症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児呼吸器疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児消化器疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児皮膚疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児整形外科
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
アトピー性皮膚炎
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
じんま疹
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
痒疹
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
足白癬(水虫)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
爪白癬
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
尋常性疣贅(いぼ)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
うおのめ(鶏眼)・たこ(胼胝)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
骨粗しょう症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
変形性頚椎症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
変形性腰椎症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
変形性膝関節症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
変形性股関節症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
関節リウマチ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
肩関節周囲炎(五十肩)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
頭痛
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
不眠症・睡眠障害
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
うつ病・不安神経症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
手足のしびれ・つり
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
予防接種・ワクチン
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
検査結果の読み方
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
高血圧
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
脂質代謝異常症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
糖尿病
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
高尿酸血症・痛風
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
肝機能障害
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
腎機能障害
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
脳卒中(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
不整脈
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
逆流性食道炎
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
胃炎とヘリコバクターピロリ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
機能性ディスペプシア
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
がん・悪性腫瘍
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
肺がん
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
胃がん
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
大腸がん
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
乳がん
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
前立腺がん
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
気管支喘息
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
アレルギー
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
花粉症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
甲状腺疾患・ホルモンの病気
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
貧血
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児感染症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
突発性発疹
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
麻疹(はしか)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
風疹(ふうしん)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
水痘(みずぼうそう)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
ヘルパンギーナ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
手足口病
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
伝染性単核球症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
伝染性紅斑
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
RSウイルス感染症
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
インフルエンザ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児呼吸器疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児消化器疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児皮膚疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
みずいぼ
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
小児整形外科疾患
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
アトピー性皮膚炎
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
じんま疹 Uriticaria
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
痒疹
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
足白癬(水虫)
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
爪白癬
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック
尋常性疣贅
3度のアメリカ留学・多くの海外経験を持つ院長が横浜で暮らす患者様に贈る総合診療クリニック

診療時間


HOME クリニックについて 診療科と診療時間 院内設備 健康診断・人間ドック 自費診療のご案内